流行性角結膜炎(はやり目)・ウイルス性角結膜炎
ウイルス性角結膜炎とは
人の目において、まぶたをひっくり返して見える部分や、目の表面の白く見える部分は、透明な結膜という膜で覆われています。それぞれ、眼瞼結膜(がんけんけつまく)、眼球結膜(がんきゅうけつまく)と呼びます。また、茶目の部分を角膜と呼びます。 結膜は、目を開いている間ずっと外気に触れているため、感染症が起きやすい場所とされています。 ウイルス性角結膜炎は、ウイルス感染によってこの角膜や結膜に異常が出る病気です。

ウイルスが感染すると結膜の部分が充血して、まぶたや白目の部分が赤くなってしまったり、むくんだり、目やにが出たり、目がゴロゴロしたりします。その他にも、涙が出たり、いつもより眩しいと感じたり、茶目の部分がにごったりすることもあります。熱が出たり、のどの痛みを訴えたりと、全身症状が出るものもあります。
ウイルスの種類
ウイルス性角結膜炎は感染力の強いものが多く、家庭内感染や学校内の集団感染の原因になります。いつから登園・登校していいか、かかりつけ医の確認をとる必要があります。 ウイルスには、アデノウイルス、エンテロウイルス、ヘルペスウイルスなどがあります。ウイルスの種類によって症状や病気の名前が違います。
流行性角結膜炎(はやり目)
原因となるウイルス:アデノウイルス8,19,37,53,54,56型 症状:まぶたの裏側のブツブツ、充血、まぶたの腫れ、流涙、サラサラした目やになど。 発症時期:感染後7日〜14日
咽頭結膜熱(プール熱)
原因となるウイルス:アデノウイルス3,4,7,11,14型 症状:まぶたの裏側のブツブツ、喉の痛み、発熱 発症時期:感染後5〜7日
急性出血性結膜炎
原因となるウイルス:エンテロウイルス70型、コクサッキーウイルスA24変異株 症状:白目部分の内出血(眼球結膜下出血)、ゴロゴロ感、充血、まぶしさ、軽度のまぶたの裏側のブツブツ 発症時期:感染後約1日
一つずつ解説していきます!
流行性角結膜炎(はやり目)とは
流行性角結膜炎、別名「はやり目」とは、アデノウイルスによる病気です。 アデノウイルスの中でも、主に8,19,37,53,54,56型によるものです。 非常に感染力が強いため、はやり目と呼ばれることがあります。夏に流行します。

流行性角結膜炎(はやり目)の症状
流行性角結膜炎は、まぶたの裏側のブツブツ、充血、まぶたの腫れ、サラサラした目やに、流涙などが起こります。 また、耳のリンパ節に押すと痛みのあるしこりができます。 赤ちゃんなど乳幼児の場合、発熱や下痢などの全身症状が出ることもあります。そのほか、偽膜(ぎまく)という炎症性の白い膜がまぶたの裏側にできることがあります。 炎症が強い場合、発症後1〜2週間目に茶目の部分が濁ることがあります(多発性角膜上皮下浸潤)。これは視力が低下したり、まぶしくて眼が開けにくくなる原因となります。 ほとんどの場合両眼に発症しますが、初期は片眼のみに発症することもあります。 流行性角結膜炎(はやり目)は感染してから7〜14日程度で発症します。
流行性角結膜炎(はやり目)の治療
アデノウイルスの特効薬は現在ありません。 だからといって病院に行かないままアデノウイルスを放置しておくと、眼の免疫が下がり、他の感染症を合併してしまう可能性があります。 そのため、症状がよくなるまで、その他の細菌感染による合併症が起こらないように抗菌薬などの点眼を行います。症状によってはステロイド点眼を併用することもあります。 ほとんどの場合1〜2週間程度で治癒します。
流行性角結膜炎は学校保健安全法で定められる学校感染症の第三種に指定されています。これは学校において流行を広げる可能性がある伝染病という区分になります。 何日休まなければならないという決まりはありませんが、眼科などの医師から「他の人に感染する可能性がないので登校しても大丈夫ですよ」と診断されることで登校ができます。
咽頭結膜熱(プール熱)とは
咽頭結膜熱は別名「プール熱」と呼ばれ、アデノウイルス3型が主な原因となります。その他、4,7,11,14型が原因になることもあります。 子どもの感染が多いですが、大人でも感染する場合があります。 6月頃から少しずつ流行が始まり、7〜8月の感染が最も多いです。最近は冬に小規模な流行が起こることもあります。 プールの水を介して感染することが多いため、プール熱と呼ばれます。

咽頭結膜熱(プール熱)の治療
咽頭結膜熱(プール熱)の原因もアデノウイルスですので、現在特効薬はありません。眼の症状は流行性角結膜炎に比べて軽いことが多いです。 ただし38℃〜40℃程度の高熱が続くため、熱や喉の痛みを抑える薬を処方します。1週間以上続くこともありますが、ほとんどの場合自然に治ります。 熱が出ている間も、しっかりと栄養を摂ることが大切です。食欲がなければ、プリン、ゼリー、アイス、冷めたおかゆ、お豆腐など、食べやすいものを食べましょう。辛いものや熱いもの、柑橘系のすっぱいもの(オレンジジュースなど)は刺激があるので避けたほうがよいでしょう。 熱が高くなり、汗もかきやすいので、しっかり水分を摂ることを心がけましょう。 子どもだけでなく大人が感染することもありますが、子どものころにアデノウイルスに感染した人が大人になって同じ型のアデノウイルスに感染した場合、症状は軽いことが多いです。

咽頭結膜熱は学校感染症の第二種に指定されています。これは学校において流行を広げる可能性がある伝染病という区分になります。 症状がなくなって2日経過するか、内科や眼科などの医師から「他の人に感染する可能性がないので登校しても大丈夫ですよ」と診断されることで登校できるようになります。
急性出血性結膜炎とは
急性出血性結膜炎は、エンテロウイルス70型、コクサッキーウイルスA24変異株などにより引き起こされるウイルス性結膜炎です。 潜伏期間が短く、エンテロウイルス70型は感染から24時間後、コクサッキーウイルスA24変異株は感染から2〜3日後に発症します。
急性出血性結膜炎の症状
名前の通り、白目の部分の下から出血が起こります(眼球結膜下出血)。白目とまぶたと裏が充血したり、軽度の流涙が起こります。 その他に、ゴロゴロとした異物感があったり、まぶしく感じたりします。まぶたの裏にブツブツと出来物ができることもありますが、他のウイルス性結膜炎に比べると比較的軽度です。 発症から2日程度でかぜのような症状を伴うこともあります。 一週間程度で症状よくなっていくことがほとんどですが、エンテロウイルス70型によるものは、結膜炎が引いたあと稀に四肢に麻痺が出たり、顔面神経麻痺を起こすことがあります。

急性出血性結膜炎の治療
エンテロウイルス70型、コクサッキーウイルスA24変異株に対する抗ウイルス薬は現在ありませんが、他の細菌による感染予防のために抗菌薬の点眼が必要なことがあります。 結膜下出血は出血が自然に吸収されるのを待つことになります。消退時間は人によって異なり、長ければ一ヶ月近くかかることもあります。

急性出血性結膜炎は学校感染症の第三種に指定されています。これは学校において流行を広げる可能性がある伝染病という区分になります。 何日休まなければならないという決まりはありませんが、眼科などの医師から「他の人に感染する可能性がないので登校しても大丈夫ですよ」と診断されることで登校ができます。
急性出血性結膜炎の感染予防について
眼をこすった手や、手で触れた物品から感染します。 感染が分かったら、なるべく眼はこすらないようにしてください。 エンテロウイルスやアデノウイルスはアルコール消毒のみで対策をするのが難しいため、本人や周囲はこまめに流水と石鹸で手を洗うようにしましょう。 次亜塩素酸ナトリウムで物品を消毒するのもよいです。 タオルや寝具などは必ず分けて使います。洗濯も分けましょう。あるいはティッシュなど使い捨てのもののみ使用するようにしましょう。

咽頭結膜熱で熱が高くて元気がないときなど以外はお風呂に入っても大丈夫ですが、感染している人のお風呂の順番は最後にするほうがよいでしょう。 なお、咽頭結膜炎は他のウイルス性結膜炎と違い、咳やくしゃみなどでも感染するため(飛沫感染)、サージカルマスクを着用することも感染予防になります。 また、プールの水が感染源になるため、プールの塩素濃度を適正に維持したり、症状が分かったら治るまでプールは入らないようにしたりする必要があります。 また、咽頭結膜熱にかかるとウイルス感染後30日は便からウイルスが排出されます。赤ちゃんの場合、おむつなどの交換後の手指を介して感染が広がることもあるため、おむつの取り扱いには十分注意し、おむつ交換後はしっかりと手洗いを行いましょう。