【秋】目がかゆい、くしゃみ、鼻水、…風邪?花粉症?寒暖差アレルギー?詳しく解説

アレルギー

季節が移り変わる9月、10月、そして11月には、くしゃみや流れる鼻水、目や鼻、喉、そして肌に感じるかゆみといった症状が全身で現れることがあります。

その中で、「もしかしたら風邪を引いてしまったのかも?」と考えている方々が少なくないのではないかと思います。

確かに、季節の変化に伴い、朝と昼間の気温差が激しくなることから、体調を崩しやすくなり、風邪を引く人が増える時期であることは間違いありません。

しかし、くしゃみや鼻水、目の痒みといった症状は、花粉症やその他のアレルギー反応によるものである可能性も考えられます。

花粉症と聞くと春を思い浮かべるかもしれませんが、実は秋にも花粉が舞っているのです。また、花粉以外の要因でアレルギー反応が起こることもあり得ます。

この記事では、秋季におけるアレルギーとその原因について詳しく説明していきたいと思います。

アレルギーって?

ヒスタミン

アレルギー反応は、通常は体にとって無害であるはずのアレルゲン(スギ花粉、ダニ、ハウスダストなどの例が挙げられます)を、人の免疫システムが誤って異物とみなしてしまうことから発生します。

この認識の誤りが原因となり、体はアレルゲンを体外に排出しようとして、過剰な反応を示します。

アレルギー反応が引き起こされると、免疫システムはアレルゲンを排除する目的で、特定の生物学的物質を放出します。その中でも、ヒスタミンと呼ばれる物質が中心的な役割を担っています。

ヒスタミンは神経や毛細血管に影響を与え、痛みやかゆみ、腫れ、赤みなどの症状を誘発します。

例えば、くしゃみ、流れるような鼻水、目の痛みや赤み、かゆみなどは、ヒスタミンが引き起こす影響の一部に過ぎません。

アレルギーの症状について

アレルギーに苦しむ女性

アレルギー反応が現れる症状は、触れるアレルゲンの種類や個々の人の体質によって異なることがあります。

  • 目がかゆくなったり赤くなったりする(これはアレルギー性結膜炎と呼ばれます)
  • くしゃみが出たり鼻水がサラサラになったり鼻が詰まったりする
  • 喉や肌がかゆくなったり発疹や蕁麻疹ができる、集中力が落ちたりだるさや倦怠感、微熱があるように感じる
  • 顔や体が熱くなる

アレルギーの症状は軽いものから重いものまで様々で、中には喘息のような症状を引き起こす人もいます。

これらの症状は生活の質(QOL)に大きく影響を与えるため、症状が重くなる前に医療機関を受診することを推奨します。

秋のアレルギーの原因と対策

秋の花粉症

オオブタクサ

スギやヒノキの花粉症は春の代名詞とも言えますが、秋にも私たちの健康を脅かすアレルゲンが存在し、それは花粉です。

これに該当する主な植物は、都市部の空き地や郊外に生育する雑草群です。

キク科に属するブタクサやヨモギ、さらにカナムグラやカモガヤといったその他の雑草たちが、9月から11月にかけて花を咲かせ、その際に花粉を放出し、アレルギーの原因となるのです。

特にブタクサとヨモギは、日本国内どこでも見かけることができるキク科の植物で、ブタクサは8月から10月にかけて黄色い花を咲かせ、ヨモギは紫褐色の花を咲かせます。これらは主に道端や公園、河川敷など、私たちが日常生活を送るエリアに広く分布しています。

秋の花粉の対策

ブタクサやヨモギはスギやヒノキと比べると背丈が低い植物であり、それに伴って花粉の飛散距離も短く、数十メートルから数百メートル程度に制限されています。この特性から、花粉が広範囲に渡って飛散することはあまりありません。

そのため、ブタクサやヨモギが生育している、あるいは生育しそうな草地や川岸、土手といった場所を避けることが、花粉によるアレルギー反応を防ぐ上で最も効果的な手段となります。これによって、直接的な花粉曝露を減らし、アレルギー症状の発生や悪化を防ぐことができます。

加えて、外出する際にマスクや眼鏡を着用することも、花粉症の症状を軽減する効果的な方法の一つです。

ただし、ブタクサやヨモギの花粉の粒子は非常に小さいため、通常の花粉対策用のマスクでは完全にフィルタリングすることが難しいかもしれません。症状が重い場合には、PM2.5やウイルス対応のマスクを選択することで、より高い防護効果を期待することができます。

さらに、室内に花粉を持ち込まないように、外から帰宅した際には髪の毛や衣服を払ってから家に入ることをお勧めします。衣服ブラシを使用すると、この効果はさらに向上します。

 

洋服ブラシ

ハウスダスト

溜まったホコリ

ハウスダストが引き起こすアレルギーは通年性アレルギーと称され、年間を通じてアレルギー症状をもたらす要因となっています。

実際、年間を通して見ると、特に秋の季節はハウスダストが増加しやすい時期と考えられています。

ハウスダストとは、屋内に蓄積するちりやほこりのことを指し、その中にはダニの死体や糞、カビといったものが含まれています。特にダニは、6月から8月にかけての暖かい季節に繁殖する一方で、気温が下がる秋には死滅する傾向にあります。

この結果、秋になるとダニの死体や糞が増加し、それがハウスダストとして蓄積します。これが原因となり、秋の季節にはハウスダストによるアレルギー症状を訴える人が増加します。

衣替え

秋はまた、「衣替え」の季節でもありますが、この衣替えがアレルギー反応を引き起こすリスクを持っています。

「久しぶりにクローゼットから洋服を取り出したら、くしゃみが止まらなくなった」という経験をお持ちの方もいるかもしれません。

長期間クローゼットで保管されていた洋服には、アレルギーを引き起こす可能性のある繊維片やダニの死骸、糞、カビなど、ハウスダストの成分が付着していることが多いです。特に密閉された空間での保管は、これらのアレルギーの原因となる物質が増加すると言われています。

衣替えを行う際には、これらのハウスダストが一気に空気中に放出され、それがアレルギー反応を引き起こすことがあります。これを防ぐためには、衣替えを行う際には十分な注意が必要です。

ハウスダストアレルギーの対策

まず最初に、カーペットや寝具の定期的な掃除や洗濯が非常に重要です。

ダニの死骸は洗濯だけでは完全に除去することが難しいことが多いため、掃除機を使って丁寧に隅々まで掃除することが推奨されます。ハウスダスト対策に特化した布団用の掃除機のノズルを使用すると、より効果的です。

加えて、ダニは湿度が高い環境を好むため、除湿機を使用して部屋の湿度を50%以下に保つこと、また、定期的に布団乾燥機を使用したり、布団を天日干しすることで布団を乾燥させることも、ダニの繁殖を防ぐ効果的な対策となります。

さらに、ダニは人間のフケや皮膚の垢、食べ物のカス、カビなどを餌として繁殖するので、部屋を常に清潔に保ち、定期的に掃除と換気を行い、寝具やカーペットを清潔に保つことが重要です。これにより、ダニの生息環境を減少させ、ハウスダストによるアレルギー症状を軽減することができます。

衣替えを行う際には、特にハウスダストが空中に舞い上がらないように注意し、ハウスダストを吸い込まないように対策を講じ、室内の空気を入れ替えるために換気を行うことが重要です。

衣替えの際の具体的な注意点を以下にまとめます。

  1. 衣類をできるだけ丁寧に取り出し、ハウスダストを空中に飛散させないようにする。
  2. マスクを着用して衣替え作業を行う。
  3. 窓を開けて十分に換気を行いながら衣替えを進める。
  4. 洗濯済みの衣類であっても、再度洗濯と天日干しを行う。
  5. これからしまい込む衣類も、しっかりと洗濯と天日干しを行い(可能であればアイロンをかける)、ダニ防止剤、虫除け、湿気取りと一緒に保管する。

これらの注意点を守ることで、ハウスダストによるアレルギー症状を防ぎ、快適な秋の季節を過ごすことができます。

寒暖差アレルギー

季節の移り変わりや、朝夕と昼間の気温差が大きくなることが引き金となり、くしゃみや鼻水を引き起こす方もいらっしゃいます。

一般的には「寒暖差アレルギー」と呼ばれるこの症状は、医学的には「血管運動性鼻炎」と称されます。これは、花粉症のように特定のアレルゲンが原因であるわけではないためです。

温度差が鼻の粘膜に刺激を与え、その結果、粘膜内の血管が拡張し、粘膜が腫れ上がることで症状が発生すると考えられています。

特に、気温の差が7度以上になると、寒暖差アレルギーの症状が現れやすくなると言われており、これが自律神経の乱れを引き起こし、症状を悪化させる一因となると考えられています。

寒暖差アレルギーの対策

寒暖差アレルギーに対する対策としては、体温調節や自律神経の安定を心がけることが主要となります。

体感温度の調整
  • 外出する際には、手軽に羽織ることができるアウターやマスクを持参し、必要に応じて利用しましょう。
  • 体が感じる温度差を最小限に抑えることが重要です。
首元の保護
  • 首元には大きな血管が通っており、ここを温めることで顔周りの血流が改善されます。
  • スカーフやマフラーを利用して首を暖かく保つと良いでしょう。
マスクの使用
  • マスクを使用することで、冷たい空気が直接鼻や口に触れるのを防ぎ、粘膜の乾燥や刺激を和らげることができます。
手首と足首の保護
  • 手首や足首にも大きな血管があり、これらの部位を暖かく保つことで全身の血流が良くなります。
  • 手袋や厚手の靴下を使用してこれらの部分を暖かく保ちましょう。
刺激物質の回避
  • タバコの煙、排気ガス、香料などの化学物質や精神的なストレスは自律神経のバランスを崩すことがあります。
  • これらの刺激物質を避けることで寒暖差アレルギーのリスクを低減できます。
筋肉の強化
  • 筋肉量が少ないと体温の調整が難しくなります。
  • 適切な運動、特に有酸素運動や筋トレを行うことで筋肉を強化し、体温調整の能力を高めることができます。
抗アレルギー薬の服用
  • 抗アレルギー薬を服用することで、症状が楽になることが多いです。症状が酷くなる前に病院やクリニックに相談することをおすすめします。

寒暖差アレルギーとその他のアレルギーを見分けるには?

1. 症状の出現タイミング

  • 寒暖差アレルギー:気温の変化が激しい時期や、日中と朝晩の温度差が大きい時に症状が出やすい。
  • 花粉症やハウスダストアレルギー:特定の季節や環境で症状が出現する。例えば、花粉症の場合は春や秋に症状が出やすい。

2. 症状の持続性

  • 寒暖差アレルギー:温度差が無くなれば症状も改善することが多い。
  • 他のアレルギー反応:アレルゲンに触れている限り、症状が持続することがある。

3. 症状の種類

  • 寒暖差アレルギー:主に鼻水やくしゃみ、鼻詰まりといった鼻に関する症状が主。
  • 他のアレルギー反応:目のかゆみや充血、皮膚のかゆみや発疹など、より広範囲に症状が現れることがある。

4. 症状の反応性

  • 寒暖差アレルギー:温かい飲み物を摂る、室内で過ごすなどして体を温めると症状が軽減することがある。
  • 他のアレルギー反応:アレルゲンを避ける、アレルギー用の薬を使用するなどしないと症状が改善しない。

また、アレルギー検査を行ったがどのアレルゲンも原因である可能性が低いという場合も、寒暖差アレルギーが考えられます。

その他の理由

風邪 – 風邪とアレルギー性鼻炎の違い

鼻をかむ女性

秋は季節の移り変わりが激しく、日中と朝夕の温度差が大きいため、体調を崩しやすく、風邪を引きやすい時期です。この時期にくしゃみが出ると、それがアレルギー反応によるものなのか、それとも風邪を引いているのかを判断するのは難しいことがあります。

以下に、アレルギーが原因の場合と風邪が原因の場合の主な違いを記載します。

原因

  • アレルギー: アレルゲンに対する体の過剰な反応により、症状が現れます。これには花粉、ダニ、ペットの抜け毛、カビなどが含まれます。
  • 風邪: ウイルス感染が主な発症原因となります。

継続する期間

  • アレルギー:アレルゲンに継続的にさらされている限り、症状が持続する可能性があります。例えば、花粉のシーズンには、症状が数週間から数ヶ月間続くこともあります。
  • 風邪:一般的には、症状は1週間から10日間で改善されることが多いです。

鼻からの分泌物

  • アレルギー: 鼻水は透明でサラサラしており、止まることなく流れ出ます。
  • 風邪: 最初はサラサラの鼻水が出ますが、病状が進むと黄色や緑色の粘り気のある鼻水に変わることが一般的です。

発熱の有無

  • アレルギー: ほとんどの場合発熱はありませんが、症状がひどい場合は微熱が出ることもあります。
  • 風邪: ほぼ確実に発熱が伴います。

目の症状

  • アレルギー: 目のかゆみがあり、アレルギー性結膜炎が引き起こされることがあります。
  • 風邪: 目に症状が出ることは珍しく、ほとんどの場合は症状がありません。(ただし、特定のウイルスによる場合は目に症状が出ることがあります。詳細はこちら

発症時期

  • アレルギー: アレルギーの原因物質によって異なりますが、季節性のアレルギー(花粉症など)の場合は毎年特定の時期に症状が現れます。一方で、ハウスダストなど通年性のアレルギーの場合は年中症状が続くことがあります。
  • 風邪: 季節を問わず発症する可能性がありますが、特に季節の変わり目や冬季に多く見られます。

どちらにせよ、症状がひどい場合は一度病院の先生に相談されることをおすすめします。

乾燥

肌のかゆみ

秋から冬にかけての季節は、肌の乾燥を引き起こしやすい環境が整っています。特に、湿度の低下と夏の紫外線のダメージが重なり、肌の保護機能が弱まりがちです。

この時期には肌の水分が奪われやすくなる一方で、涼しい気候のため水分補給をおろそかにしがちになります。これらの要因が合わさることで、肌は乾燥し、かゆみや赤みなどの症状を引き起こすことがあります。

こうした状況に対処するためには、保湿クリームを利用して肌の水分を保つこと、部屋の湿度を適切なレベルに保つこと、そして十分な水分を摂取することが重要です。

ただし、乾燥だけでなくアレルギー反応が肌のトラブルの原因となっている場合もあります。乾燥とアレルギー、どちらも肌の状態に影響を与えている可能性があるため、症状が重い場合は専門の医師の診察を受けることが推奨されます。

アレルギーの薬について

アレルギーの症状を軽減し、生活の質を維持するためには、適切なお薬の使用が非常に重要です。アレルギー症状を放置すると、かゆみや炎症が悪化し、日常生活に大きな影響を及ぼすだけでなく、他の病気を引き起こすリスクも高まります。

例えば、目のかゆみを我慢できずに擦ってしまうと、症状が悪化し、最悪の場合は網膜剥離などの重大な病気を引き起こす可能性もあります。

このため、医師の診断とアドバイスを受けて、自分に合ったお薬を選ぶことが重要です。特に当法人の理事長である上月直之先生は日本アレルギー眼科学会のメンバーであり、アレルギーに関する専門的な知識を持っていますので、安心してご相談いただけます。

以下、当院で提供しているお薬のカテゴリー別に説明していきます。

点眼薬(目薬)

点眼する女性

アレルギー性結膜炎などの目のアレルギー症状を和らげるために使用される点眼薬には、さまざまな有効成分が含まれています。主に処方されるのは「抗ヒスタミン」を含む目薬であり、これはアレルギー反応を引き起こす物質であるヒスタミンの作用を阻害することで症状を軽減します。

一方で、「ステロイド」や「免疫抑制剤」を含む目薬も存在し、これらは主に症状が重い場合に、医師の厳密な管理の下で処方されることがあります。ステロイドは強力な抗炎症作用を持ち、免疫抑制剤は過剰な免疫反応を抑えることで炎症を抑制します。

市販の目薬には「ケミカルメディエーター阻害物質」を含むものもあり、これはアレルギー反応を引き起こす物質の放出を防ぐことで症状を軽減します。

なお、一部の点眼薬はコンタクトレンズを装着した状態で使用することが可能ですが、目の状態によってはコンタクトレンズの使用を控える方が良い場合もあります。したがって、使用前には医師に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。

抗ヒスタミン成分

  • アレジオンLX点眼薬/アレジオン点眼液/*エピナスチン塩酸塩
  • パタノール点眼液/*オロパタジン塩酸塩
  • インタール点眼液
  • ザジテン点眼液

*は後発医薬品(ジェネリック)

抗ヒスタミン成分を含む点眼薬は、アレルギー反応を引き起こす主要な物質であるヒスタミンと競合します。ヒスタミンが眼の組織にある受容体に結合すると、かゆみ、充血、涙などのアレルギー症状を引き起こしますが、抗ヒスタミン成分はこれを阻害します。

具体的には、抗ヒスタミン成分はヒスタミン受容体に結合し、ヒスタミンが結合するのを防ぐことでアレルギー反応を抑制します。この作用により、かゆみや充血、涙などの症状が軽減され、アレルギーによる不快感を和らげることができます。

多くの患者さんに対してこのタイプの目薬が処方され、アレルギーによる眼の症状の管理に広く利用されています。

 

ステロイド

  • フルメトロン点眼液/*フルオロメトロン点眼液
  • リンデロン点眼液/*ベタメタゾン点眼/サンベタゾン点眼液

*は後発医薬品(ジェネリック)

ステロイドには非常に強い抗炎症作用があり、炎症を引き起こす様々な物質の生成や活動を抑制することで、アレルギーによる症状や炎症を速やかに和らげる効果があります。特に重度のアレルギー反応や炎症を伴う状態において、その高い効果を発揮します。

短期間での使用であれば、効果が早く出るため、効果的に症状をコントロールすることが可能です。また、局所的な使用のため副作用はほとんどありませんが、ないわけではありません。長期間の使用や過剰な使用は避けるべきであり、眼圧上昇や白内障などの副作用が起こる可能性があります。したがって、ステロイド含有の点眼薬を使用する際は、医師の適切な管理と指導の下で行う必要があります。

 

免疫抑制剤

  • タリムス点眼液
  • パピロックミニ点眼液

免疫抑制剤は、免疫システムの一部を抑えることによって、アレルギー反応や自己免疫反応によって引き起こされる炎症を軽減する作用を持っています。これにより、長期にわたるアレルギー症状や慢性的な炎症の抑制、改善を目指します。

特に、慢性的なアレルギー性結膜炎や重症の春季カタルなど、他の治療法では十分な効果が得られない場合に、免疫抑制剤の使用が検討されます。しかし、免疫システム全体に影響を与える可能性があるため、感染症のリスクが増加するという副作用があります。

そのため、免疫抑制剤を使用する際は、医師の厳格な管理と指導のもとで行われる必要があります。医師は患者さんの健康状態を詳細に評価し、感染症のリスクと治療の利益を慎重に比較検討した上で、免疫抑制剤の使用を決定します。

点鼻薬

  • ナゾネックス点鼻薬/*モメタゾン点鼻薬
  • アラミスト点鼻薬

*は後発医薬品(ジェネリック)

ステロイド点鼻薬は、アレルギー性鼻炎の治療に広く用いられており、その効果と安全性から多くの医師に推奨されています。アラミストやナゾネックスのようなステロイド点鼻薬は、直接鼻の粘膜に作用することで、アレルギー症状を効果的に抑制します。

これらの薬剤は、ステロイド成分が血液循環に乗りにくい設計となっており、そのため全身に対する副作用が非常に少ないのが特徴です。しかし、それでも副作用が全くないわけではありません。鼻出血や鼻の粘膜の乾燥、かゆみなどの局所的な副作用が報告されています。

使用者自身が適切な使用方法を守り、指定された使用期間内で使用することが重要です。ステロイド点鼻薬は、即効性を期待するものではなく、定期的に使用することで徐々に効果が現れます。

万が一、アナフィラキシー反応のような重篤な副作用が生じた場合は、直ちに使用を中止し、緊急の医療機関を受診する必要があります。適切な使用方法と注意点を把握し、安全にステロイド点鼻薬を利用しましょう。

内服薬(飲み薬)

飲み薬を用いることで、全身にわたるアレルギー症状を効果的に抑制することが可能です。

ここで重要なのは、使用するお薬の種類により、効果の発現の仕方や、副作用のリスクが異なるという点です。各患者さんの体質や生活スタイルに合わせたお薬を選ぶことが、安全かつ効果的な治療に繋がります。

第1世代抗ヒスタミン薬

  • クラリチン

効果はあるものの、眠気や口の乾きなどの副作用があります。市販薬に多く含まれています。

第2世代抗ヒスタミン薬

  • アレロック/*オロパタジン塩酸塩
  • ザイザル/*レボセチリジン塩酸塩
  • アレグラ
  • アレジオン
  • ディレグラ
  • タリオン

*は後発医薬品(ジェネリック)

病院で処方される主流の薬で、効果がありつつ眠気の副作用が少ないものが多いです

特にザイザルは、効果と副作用のバランスが良いとされています。

第3世代抗ヒスタミン薬

  • ビラノア
  • ルパフィン

眠気の副作用がほとんどなく、効果も高いとされていますが、先発品のため値段が高いという短所があります。

漢方薬

  • 小青竜湯

鼻水やくしゃみの原因である「水」の代謝を改善し、体を温める効果があります。眠くなる成分は含まれていないため、日常生活に支障をきたすことなく服用可能です。

小青竜湯は、抗ヒスタミン薬の内服と飲み合わせして頂いても問題ありません。

ただし「麻黄湯」という成分が入っているため、例えば「葛根湯」や「一部の風邪薬」などとの飲み合わせには注意が必要です。

飲み合わせに関して詳しくは処方時に医師や薬剤師に相談してください。

軟膏

花粉症は、主に鼻や目の症状が知られていますが、花粉が皮膚に触れることで肌荒れを引き起こすこともあります。この肌荒れは、アトピー性皮膚炎や接触性皮膚炎のような症状を引き起こすことがあります。肌荒れの治療・予防には、以下の軟膏が効果的です。

肌荒れの治療・予防には、これらの軟膏を適切に使用し、症状に応じて医師と相談しながら治療を進めることが重要です。

ステロイド軟膏

ステロイド軟膏は、炎症やかゆみを抑える作用があります。短期間で症状の改善が見込めるため、急性期の肌荒れや炎症に効果的です。副作用として、皮膚が薄くなることがあるため、使用は医師の指示に従ってください。

  • プレドニン眼軟膏
  • リンデロンA眼軟膏
  • ネオメドロール眼軟膏(ステロイド+フラジオマイシン)

※フラジオマイシンに対するアレルギーをもつ患者さんが一定数存在することから、当院ではプレドニン眼軟膏を使用することが多いです。

免疫抑制軟膏

免疫抑制軟膏は、肌の免疫反応を抑えることで、炎症やかゆみを和らげます。ステロイド軟膏が効かない場合や、副作用が懸念される場合に使用されます。

  • プロトピック軟膏

保湿用軟膏

保湿用軟膏は、乾燥した肌を保護し、水分を補給することで肌荒れを予防します。肌のバリア機能を強化し、外部刺激から肌を守ります。症状が軽度の場合や、予防目的で使用されます。

  • プロペト

なお、上記で挙げたお薬は当院でよく処方するものになります。その他のお薬でご希望があればご相談ください。

 

まとめ

秋の季節になると、くしゃみや鼻水といった症状が現れることがあり、これは風邪だけでなく「アレルギー」が原因である可能性も考えられます。

特に、春と同じく秋にもアレルギーの原因となり得る要素が多く存在しています。そのため、症状が現れた際には速やかに医師の診察を受けることをお勧めします。

予防として、アレルギーの症状が出現する前から抗アレルギー薬を摂取することで、症状が軽減されることが期待できます。これは、症状が出てから薬を飲むよりも効果的です。

「自分はもしかしたらアレルギーかも?」と感じた際には、症状が出ていない状態であっても、早めに医師に相談することをお勧めします。

医療法人社団慶月会の理事長である上月直之は、日本アレルギー眼科学会のメンバーであり、アレルギーに関する専門的な診療を提供しています。

当法人では、「王子さくら眼科」(東京都北区王子)と「経堂こうづき眼科」(東京都世田谷区経堂)の2つのクリニックを運営しておりますので、お住まいやご都合に合わせてお選びいただけます。どちらのクリニックもアレルギーに対する適切な診療を提供しておりますので、お気軽にご相談ください。

 

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この記事の監修

経堂こうづき眼科院長
アレルギー
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