糖尿病網膜症は治るの?眼科医が早期発見と治療法を解説

糖尿病網膜症のリスクについてサムネイル 糖尿病網膜症

今回は「糖尿病網膜症」について詳しく解説していきます。糖尿病は全身に影響を及ぼす病気ですが、その中でも失明の原因となる「糖尿病網膜症」は特に注意が必要です。

この記事では、糖尿病網膜症の症状や検査方法、治療法、そして失明を防ぐためのポイントについてお話しします。

下記youtube動画では年間3万人以上の患者を診察している院長の上月が、対談形式でわかりやすく説明しておりますのでぜひ合わせてご覧ください。

糖尿病と目の関係

糖尿病の血管

糖尿病は血管に影響を与える病気であり、目の中の血管も例外ではありません。

糖尿病によって血管がダメージを受け、網膜に障害が発生するのが「糖尿病網膜症」です。糖尿病が進行すると、網膜の血管が破壊され、栄養や酸素が行き届かなくなることで、視力低下や失明に至る可能性があります。

糖尿病は日本人の失明原因の第3位を占めており、特に注意が必要な合併症です。

糖尿病網膜症の怖さ—症状が出ないからこそ危険

糖尿病網膜症の最も恐ろしい点は、自覚症状がほとんどないことです。

進行しても視力低下に気づかないことが多く、気づいた時にはすでに網膜に深刻なダメージが及んでいることも少なくありません。

例えば、網膜の血管が破れたり、出血したりして突然視界がぼやけることがあり、その時には既に糖尿病網膜症がかなり進行していることが多いです。

糖尿病網膜症の検査方法

糖尿病の診断を受けたら、定期的に眼科を受診し、目の状態をチェックすることが非常に重要です。

糖尿病網膜症の検査では、主に以下の方法が用いられます。

散瞳検査

瞳孔を開いて、網膜の状態を隅々まで確認します。

糖尿病網膜症は網膜の周辺部から進行するため、散瞳して詳細に観察する必要があります。
網膜の血管は人間の血管で唯一直接見ることができる血管です。糖尿病膜症は周辺部から進行してきます。散瞳検査で糖尿病網膜症の病勢をある程度まで判断することができます。
検診で行う眼底写真では中心部しか判断できないこともあり、糖尿病の方には散瞳検査を行うことが勧められます。

OCT(光干渉断層計)

網膜の中心部にむくみがないかを確認します。このむくみが「糖尿病黄斑浮腫」で、視力に大きな影響を及ぼすことがあります。

糖尿病黄斑浮腫が起きると、初期はものが歪んで見えるという症状が出ますが、悪化すると視力低下に繋がります。

糖尿病黄斑浮腫と糖尿病網膜症の病勢に相関関係はそこまでないため、糖尿病網膜症が進んでいないのにも関わらず糖尿病黄斑浮腫が起きている例もあります。

黄斑浮腫の症状

  • ものが歪んで見える
  • 中心が見づらい
  • ものが大きく見える
  • ぼやけて見える、不鮮明に見える
  • 視力が下がった
  • かすんで見える
  • 画面が歪んでいる
  • 片目ずつ見たときにものの大きさが違う

黄斑浮腫のセルフチェック

アムスラーチャート

① 30cm程度離れた距離から行います。新聞や本を読むためのメガネがあればかけたまま行って下さい。
② 片目を隠した状態で、表の中央にある黒い丸●を見つめます
③ 片目が終わったあと、もう片目も行います。

下記のように見えたり、見え方に違和感がある場合は早めに眼科へお越しください。チェック用紙を印刷していただき、それに見え方を書き込んで頂いた上でお持ちいただきますとよりスムーズに診察が行なえます。

アムスラーチャート

また、OCT検査によって緑内障や加齢黄斑変性など他の疾患を同時に見つけることも可能となっています。

蛍光眼底造影検査(FA/IA)

造影剤を使って網膜の血流を確認し、血管の損傷や血流不足を調べます。
血流不足がある網膜は酸素や栄養が足りなくなるため、VEGFを放出する原因となります。
そのため、血流不足がある網膜の部位を把握することが重要となっています。

一方、蛍光眼底造影検査は造影剤によるアレルギー反応が問題になっています。
実際に造影剤検査のアレルギーによる死亡事故なども起きているという報告もあります。
ですので、あまり最近は造影検査まで行うクリニックは減っています。
また近年は造影検査を行わずに眼底検査やOCTで状況を把握し、治療方針を決定するということも増えています。

糖尿病網膜症の治療法

糖尿病網膜症の進行を防ぐためには、早期発見と適切な治療が重要です。以下のような治療法があります。

レーザー治療(汎網膜光凝固術)

網膜の血液が行き届かなくなった部分にレーザーを当て、不要な新生血管が発生するのを抑制します。網膜の周辺部にレーザーを照射するため、視力にはほとんど影響はありませんが、暗い場所での視界にやや影響が出る場合があります。

抗VEGF療法(硝子体内注射)

硝子体注射
硝子体注射

糖尿病によって引き起こされる網膜のむくみ(糖尿病黄斑浮腫)に対して、VEGF(血管内皮増殖因子)を抑制する薬剤を眼内に注射します。この治療はむくみを減少させ、視力の改善に効果的です。ただし、定期的な注射が必要となることが多いです。

硝子体手術

出血が多く、レーザー治療が困難な場合、硝子体手術が必要です。目の中にある血液を取り除き、網膜を清潔にしてから治療を行います。

糖尿病と目の定期的な検診が大切

説明を受ける患者さん
王子さくら眼科理事長 上月直之

糖尿病の診断を受けたら、必ず定期的に眼科検診を受けることが大切です。

進行した糖尿病網膜症を未然に防ぐためには、早期の検査と適切な治療が不可欠です。

目に自覚症状がなくても、眼科での定期的なチェックを欠かさないようにしましょう。

まとめ

糖尿病網膜症は進行すると失明のリスクが高くなる病気ですが、早期に発見して適切な治療を行えば、そのリスクを大幅に減らすことができます。糖尿病の方は、目の健康も定期的にチェックし、目の異変に気づいたらすぐに眼科を受診するように心がけましょう。

下記youtube動画では年間3万人以上の患者を診察している院長の上月が、対談形式でわかりやすく説明しておりますのでぜひ合わせてご覧ください。

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この記事の監修

経堂こうづき眼科院長
糖尿病網膜症
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