遠くのものが見えにくくなる、いわゆる「目が悪い」と言われる状態、「近視」の子供が近年増加しています。
子供の「近視」は、主に眼球が通常よりも楕円形に伸びてしまうことで起こります。
ではなぜ眼球が楕円に伸びてしまうのでしょうか。
原因として、「遺伝」と「子供の間の生活習慣」の両方が関係するとされており、最近は特にスマートフォンの普及や、外に出て遊ぶ時間が短くなったなどの理由が大きいと考えられています。
一度伸びた眼球は元に戻りません。にも関わらず、眼球が伸びて近視になると、網膜剥離や緑内障、黄斑変性、白内障など、失明の可能性もあるような疾患になるリスクが通常より高くなってしまいます。
近視はだいたい20歳まで進むと考えられているため、子供の間になるべく眼球を伸ばさないこと=子供の間の近視抑制治療が重要です。
近視抑制治療について
2023年11月現在、日本国内で子供の近視抑制治療として主流なのは「オルソケラトロジー治療」「マイオピン点眼治療」です。(当院ではどちらの治療も行っています)
オルソケラトロジー治療は、ナイトコンタクトレンズを装着して寝ることで、近視の方でも日中は裸眼で過ごすことが可能な上、お子様に対しては近視抑制の効果もあるとされています。
マイオピン点眼治療は、低濃度のアトロピンが含まれるマイオピンと呼ばれる点眼薬を1日1回点眼することによって近視抑制の効果が期待できる治療法です。
そんな中、近年注目を集めているのが「レッドライト治療」による近視の抑制です。
では、レッドライト治療とはどういったものなのでしょうか。詳しく解説していきます。
レッドライト治療とは
2014年中国にて650nmの「長波長を持つ赤色光」が眼軸の過剰な伸長(=近視化)を抑制する効果を持つことが発見されました。
それ以降、中国国内ではこの治療法に対する臨床データが積み重ねられ、2021年にはアメリカ眼科学会雑誌でその効果が紹介され、世界中で注目を浴びることとなりました。
レッドライト治療はとても簡単です。
- 低出力の650nm赤色光を用い、1日2回、1回3分間覗き込む
以上のレッドライト治療をきちんと行った場合、近視の進行を90%近く抑制することができたとの結果が報告されています。
なお、まだ長期的な検討が必要な部分もありますが、現時点で副作用は報告されていません。(日本では東京医科歯科大学病院が臨床実験を行っています。)
レッドライト治療では、「アイライジング(Eyerising)」という機器をご自宅で使用していただきます。
Eyerising(アイライジング)とは?
「Eyerising(アイライジング)」はオーストラリアのEyerising International社が製造する近視進行抑制治療(レッドライト療法)に使用するデバイスです。このデバイスを使用しての治療は「RLRL療法(Repeated Low-Level Red-Light therapy)」と呼ばれており、1日2回、1回3分間、週5回の照射で治療効果が得られます。
ただし、1日の治療間隔は4時間以上空ける必要があり、規定の照射時間、回数を超える使用はできません。
アイライジングの承認状況及び使用状況
Eyerising近視治療用機器は、30か国以上で医療機器として許可されており、全世界で既に15万人以上の小児に使用されています。
- BSIノーティフィボディ ISO13485 2016の適合性認証取得
- ヨーロッパ・CEマーク・クラスⅡa
- イギリス・MHRA(医薬品・衣料製品規制庁)・クラスⅡa
- ニュージーランド・Medsafe(医薬品医療機器安全当局)・クラスⅡa
- オーストラリア・TGA(保健省薬品・医薬品行政局)・クラスⅡa
- 中国・CFDA(中国食品薬品監督管理総局)クラスⅡ
注意:本デバイスは日本国内では未承認の医療機器のため、高額医療費制度などの対象外になります。
レッドライト治療ができる方・できない方
レッドライト治療ができる方
- 6歳〜16歳の近視と診断された方
レッドライト治療ができない方
- 斜視と診断された方
- どちらかの眼に視機能異常がある方
- どちらかの眼に眼球異常、またはその他の全身的な異常がある
- 眼球異常 – 未熟児網膜症、網膜剥離、若年性黄斑変性症、網膜芽細胞腫などの網膜疾患がある場合
- 遺伝性網脈絡膜疾患の家族歴がある
- 瞳孔散大(散瞳)の小児、またはアトロピン、シクロペントラート、トロピカミドなどの瞳孔散大を引き起こす可能性のある薬剤を投与した後。
※マイオピン(低濃度アトロピン点眼治療)との併用はできません。レッドライト治療の最低2週間前に中止する必要があります。
※オルソケラトロジーとの併用は可能です。
レッドライト治療の流れ
- 適応検査
- 注文
- デバイス貸与
- 登録・治療
副作用・使用上の注意点について
短期的な副作用として、以下のような症状が出る場合があります。
- まぶしさ
- 閃光盲
- 残像
残像がある場合は3分以上目を閉じてください。5分以上症状が続くことが3回確認された場合、使用を中止し、眼科医に相談してください。また、治療中に光過敏症や眼刺激、眼熱傷などの不快感が生じた場合も、同様に使用を中止した上で眼科医に相談してください。
※臨床実験において、「治療後に5分以上持続するまぶしさや残像」が繰り返された場合、網膜障害と視力低下をきたした(治療中止数カ月後、症状が回復した)という症例の報告があります。光治療に対する過敏症がある場合に起こる稀な有害事象と推察されていますが、万が一「治療後に5分以上持続するまぶしさや残像」が3回以上起こった場合は使用を中止し、眼科医に相談してください。
費用について
医療機関の検査費・治療費
初年度 | 適応検査 | 16,500円(税込) | 視力や眼底の検査費用 |
---|---|---|---|
治療費 検査費 | 165,000円(税込) | デバイス貸与+治療開始後 1,3,6,12ヶ月後の検査費用 | |
1年目以降 | 検査費 | 11,000円(税込) | 1来院ごとの検査費用(6ヶ月毎・年2回) |
メーカーのサブスクリプション料金
毎月払い | 8,250円(税込) | |
1年分一括払い | 89,100円(税込) | -10%ディスカウント |
2年分一括払い | 158,400円(税込) | -20%ディスカウント |
- サブスクリプション料金のお支払いはクレジットカードのみの取扱いとなります。
- JCBのクレジットカードは使用できません。
- お支払い完了後はサブスクリプション料金の返金は受けられません。 (返金保証トライアルを除く)
- サブスクリプション料金の支払い手続きでエラー等が出る場合はクレジットカード会社へお問合せ下さい。
- Eyerisingの使用の際にはWifi環境が必要になります。Wifi環境が無ければ使用できません。
その他治療について
デバイスの保証に関して
保証期間と耐用年数
本製品は製造日から5年間の保証期間が設けられており、この期間内において本製品が正常に使用されているにもかかわらず故障が生じた場合、修理または交換の対応をさせていただきます。耐用年数を超えても引き続き当製品をご使用いただく際には、新品を無償で提供いたします。
保証対象外の事例
製品が以下のような事由によって故障した場合、保証の対象外とさせていただきます。
- 落下、機械的な損傷、水没などの偶発的、または人的な要因による故障
- 天災地変による損傷(雷、地震、火災など)
- デバイスに施されたステッカーの剥がし、擦り取り、または変更があった場合
※最終的な保証判断は製造元の判断によります。
治療開始日について
サブスクリプション料金の支払い手続きが完了した日が治療開始日となります。治療開始日から1週間が治療期間の第1週となります。
治療の時間帯について
治療のタイミングに制限はございませんので、ご利用者様のスケジュールに合わせて治療を行ってください。例として、学校からの帰宅後や夕食後に治療を行うことが可能です。
※治療間隔は最低4時間あけてください。
受診医療機関の変更
転居などで医療機関を変更される場合は、デバイスを返却いただく必要があります。変更をご希望の際は、事前に当院までお知らせください。新たな医療機関でのデバイスの利用には、別途費用が発生する場合があります。
サブスクリプション期間内であれば、新しいデバイスへのデータ引継ぎが可能です。
海外での使用
本デバイスは100V~240Vまで対応しておりますので、世界中のほとんどの国でご使用いただけます。ただし、ご利用の国のコンセントに合わせた変換プラグが必要となります。
海外での使用に際しては、航空会社や旅行代理店、各国の規制などを事前にご確認ください。
治療の中断
治療を中断される場合は、デバイスを医療機関に返却してください。本デバイスは未認証の医療機器であるため、第三者への譲渡や貸与、転売は法的に禁止されています。治療開始から2ヶ月以内の中断であれば、治療費・検査費の50%を返金いたします。2ヶ月を超える中断には返金対応ができませんのでご注意ください。
サブスクリプション料金の解約手続きも別途必要です。料金の支払い完了後の返金は対応できませんのでご留意ください。(返金保証トライアルを除く)
複数人での使用
本デバイスは1台につき最大5名までの共有が可能です。2人目以降の利用者の検査・治療費は55,000円となります。共有をご希望の場合も、各利用者ごとにサブスクリプションの登録が必要です。
1アカウントにつき1日2回、4時間おきの使用が可能です。
その他の質問について
治療に関するご質問は経堂こうづき眼科までお問合せください。
機器の操作、カスタマーポータルサイト等に関するご質問は eyerising-jp@eyelens.sg へお問合せください。(カスタマーサポートは販売代理店のシンガポールEye-Lens社が行います。)
ポータルサイトに登録されたユーザー情報(クレジットカード情報は除く)は、メーカーが指定する販売代理店、メンテナンス事業者も閲覧が可能となりますので予めご了承ください。