【2024年11月最新】白内障手術で老眼を治す!?オデッセイ・ジェメトリック・シナジー | 最新の多焦点眼内レンズを紹介

白内障

白内障手術で老眼が治せる、という謳い文句を聞いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは、白内障手術を行う際に「多焦点眼内レンズ」と呼ばれるレンズを選択することで、遠くも近くも見えるようになることを指すのが一般的です。

この遠くも近くも見える「多焦点眼内レンズ」は実は10年以上前からあったのですが、当時は今よりも見え方の質が落ちるものでした。強く夜間のライトが非常に眩しく感じてしまったり(ハロー・グレアといいます)、遠くも近くもよく見えるはずなのに実際は遠くも近くもどちらも見えづらいと感じたり…そんな不満が多くありました。

こういった過去があったため、今でも多焦点眼内レンズに対して良いイメージを抱いていない患者さんや医療従事者もいらっしゃるようです。

しかし、ここ数年で多焦点眼内レンズは次々と技術革新がなされており、これまでの「眩しい」「見えづらい」と言った不満点を解消した、新しい多焦点眼内レンズがどんどん登場しています。

今回は、2024年に新しく日本でも使用されることになった「オデッセイ」と「ジェメトリック」について詳しく紹介していきます。

下記のYouTube動画では、年間3万人以上を診察する眼科専門医の上月が対談形式で、わかりやすく説明しています。治療に対する理解を深めるために、ぜひ合わせてご覧ください。

2024年11月発売開始!最もバランスに優れた最新の多焦点眼内レンズ「オデッセイ」

youtubeスクリーンショット-オデッセイ

2024年11月に発売された「テクニス オデッセイ(TECNIS Odyssey)」はアメリカのジョンソン・エンド・ジョンソン社が製造した最新の多焦点眼内レンズです。このレンズは、アメリカでは7月に使用が開始され、日本では2024年8月から限られた施設でのみ先行使用が始まりました。

デモとして先行使用していた施設からデータが出ており、レンズを入れた方の評判が非常によく、現在最も注目されているレンズです。

youtubeスクリーンショット-オデッセイ先行使用データ

オデッセイの主な特徴は、次の3つです。

  • 連続焦点型(2焦点+焦点深度拡張(EDOF)型
  • 残余屈折に対する高い耐性
  • 夜間の眩しさが少ない

それぞれ詳しく解説していきます。

オデッセイの特徴その1-連続焦点型(2焦点+焦点深度拡張(EDOF)型

youtubeスクリーンショット-EDOF

オデッセイは「(2焦点+焦点深度拡張(EDOF)型」の多焦点眼内レンズになります。
焦点が2つあり、片方がぐっと伸ばされて(連続焦点)もう一つ焦点がある構造となっています。
このため、遠くから近くまでシームレスに焦点を合わせることができます。

これは下記に挙げるジェメトリックなどの三焦点眼内レンズとは異なり、遠くから近くまでをなめらかに、より自然に見ることができるレンズ構造になっています。

オデッセイの特徴その2-残余屈折に対する高い耐性

白内障手術のレンズを選ぶ際は、必ず「どこを一番よく見えるようにするか?」という狙いを定めます。一般的な保険適用である単焦点眼内レンズ(=見え方が老眼と同じ状態になるレンズ)の場合は、近くをよく見たい場合は近くを、遠くをよく見たい場合は遠くに狙いを定めます。
多焦点眼内レンズの場合、通常は遠方(大体2m〜5m先)に狙いを定めます。

さて、実際にレンズを入れたあと、狙った位置に焦点が来るのが理想なのですが、ごくまれに少し前後にずれることがあります。

youtubeスクリーンショット-残余屈折

もし狙った位置よりも遠くに焦点がずれてしまうと、どこにも焦点があっていないということになりますし、狙った位置よりも前方に焦点がずれると、近視が残る(遠くがよく見えない)ということになります。

これを「残余屈折(ざんよくっせつ)」と言います。

従来のレンズですと、この残余屈折により遠くの焦点が合いづらく、見づらく感じることがありました。

その点、オデッセイは最初に狙った焦点から少しずれていても見づらくならないという特徴があります。これを「残余屈折による高い耐性」と表現しています。

近年、狙った位置に焦点を合わるための、より正確な計算式と最新の機器を使用して計測するため、ほとんどの場合問題ありませんが、万が一焦点距離がずれたとしても、オデッセイでは見づらさが軽減されます。

以上の理由から、オデッセイを使用することで高い満足度を得ている患者さんが多いです。

オデッセイの特徴その3-夜間の眩しさが少ない

多焦点眼内レンズの特徴として、夜間の運転時に「ハロー」や「グレア」と呼ばれる眩しさを感じることがありました。

オデッセイはこの問題を大幅に改善しています。これにより、夜間の視界もより快適になり安全性が向上しました。

ちなみに、オデッセイは「テクニスシナジー」と呼ばれる多焦点眼内レンズの後継レンズになります。

youtubeスクリーンショット-オデッセイはシナジーの後継になる

テクニスシナジーよりもオデッセイのほうが新しいレンズなのですが、実は手元の見やすさにおいては、最新のオデッセイよりも旧来のテクニスシナジーに若干軍配が上がります。

シナジーだと手元は33cmくらいまで見えますが、オデッセイの場合37cmくらいまでになります。つまり、オデッセイに比べてシナジーのほうがより約4cm分手元に近いところまで見えることになります。

これは、シナジーに比べて手元を少し見づらくした分ハロー・グレアを軽減し、夜まぶしくないようにした経緯があるからです。

以上の点から、オデッセイはとてもバランスに優れており、日本だけでなく世界でも注目されている最新の多焦点眼内レンズになります。

オデッセイの費用について

片眼30万円から + 白内障手術費用(保険適用)

オデッセイは、厚生労働省の認可を受けた多焦点眼内レンズのため、選定療養の対象となります。選定療養とは、「手術費用は保険適用」「レンズ代のみ自費でお支払い頂く」仕組みです。

選定療養については以下のリンクをご覧ください。

多焦点眼内レンズについて|経堂こうづき眼科-世田谷区経堂駅直結 経堂コルティ2階(日帰り白内障手術)
世田谷区の経堂駅徒歩1分の眼科。土日祝診療。駐車場完備。日帰り白内障手術、緑内障、小児眼科。区検診対応。麦粒腫や結膜炎、アレルギー。レーザーも即日行います。

初めて日本で開発された2024年最新多焦点眼内レンズ!「ビビネックス ジェメトリック(Vivinex Gemetric)」

ビビネックスジェメトリックは、2024年HOYA株式会社より発売された日本企業の開発の多焦点眼内レンズです。国内の企業が多焦点眼内レンズを開発したのはこのジェメトリックが初になります。

HOYA社では、以前より「ビビネックスマルチサート(Vivinex multiSert)」という保険適用の単焦点眼内レンズを販売しています。ビビネックスジェメトリックも同じ材質で製造されているため、非常に信頼できるレンズと言えます。

ビビネックスジェメトリックは3焦点眼内レンズとして、視界を広範囲でカバーします。ジェメトリックは、次のような特徴を持っています。

ジェメトリックの特徴1-3焦点回折構造

youtubeスクリーンショット-ジェメトリックの特徴

多焦点眼内レンズの多くが回析型と呼ばれる、同心円状にぐるぐる巻いたようなデザインをしています。その点、ジェメトリックは中心部のみが同心円状になっており、中心から少し離れた部分にはこの円がありません。

これにより、夜間のまぶしさが軽減され昼夜問わず視界がクリアになります。

ジェメトリックの特徴2-夜間のハロー・グレアが非常に少ない

ジェメトリックは他の多焦点眼内レンズと比べて、ハロー・グレアと呼ばれる夜間のまぶしさが非常に少ないレンズになります。

これは先程述べた、ジェメトリックの「中心部のみが同心円状」という特徴によるものとされています。

どういう仕組みなのか、簡単に解説します。

まず、夜間にまぶしいと感じる(ハロー・グレア)現象はなぜ起こるかについてお話します。

人間の目は、明るさによって黒目(瞳孔)のサイズを調節します。明るいところでは眩しくならないように勝手に黒目が小さくなりますし、暗いところでは光をたくさん取り入れようとして黒目が大きくなります。

youtubeスクリーンショット-瞳孔について

この現象により、夜間黒目が大きくなることで、レンズ周辺部の同心円状構造の部分にも光が入るため、まぶしく感じるのではないかと考えられています。

その点、ジェメトリックはレンズ周辺部は同心円状の構造になっていません。このおかげで、夜間光を沢山取り入れようと瞳孔が開いて黒目が大きくなっても、眩しさを感じにくくなっています。

youtubeスクリーンショット-ジェメトリックのハロー・グレアが少ない理由

ジェメトリックの特徴3-国内での手術実績が多数ある素材を使用

先程もお話ししましたが、HOYA社では以前より「ビビネックスマルチサート(Vivinex multiSert)」という保険適用の単焦点眼内レンズを販売しています。

ビビネックスジェメトリックは、この眼内レンズと同じ疎水性アクリルのため、非常に信頼できるレンズと言えます。

ジェメトリックを使用した場合、手元は40cm程度まで見えるので、もっと近くも見たい!という方はオデッセイ(手元約37cm)やシナジー(手元約33cm)のほうが向いていますが、夜の運転の見え方を優先したいという方は、日本企業開発の最新多焦点眼内レンズであるジェメトリックをおすすめしています。

ジェメトリックの費用について

片眼35万円〜 + 白内障手術費用(保険適用)

ビビネックスジェメトリックは厚生労働省の認可を受けた多焦点眼内レンズのため、選定療養の対象となります。選定療養とは、「手術費用は保険適用」「レンズ代のみ自費でお支払い頂く」仕組みです。

選定療養については以下のリンクをご覧ください。

多焦点眼内レンズについて|経堂こうづき眼科-世田谷区経堂駅直結 経堂コルティ2階(日帰り白内障手術)
世田谷区の経堂駅徒歩1分の眼科。土日祝診療。駐車場完備。日帰り白内障手術、緑内障、小児眼科。区検診対応。麦粒腫や結膜炎、アレルギー。レーザーも即日行います。

多焦点眼内レンズ比較表

オデッセイやジェメトリックも含めた、当院でよく使用される多焦点眼内レンズの一覧になります。

名前構造近方中間遠方ハロー・グレア向いている人
テクニス オデッセイTECNIS Odyssey2焦点+焦点深度拡張型(EDOF)◎(約37cm)かなり少ない2024年最新レンズ
ハロー・グレアがほぼなくバランスのよいレンズをお求めの方
ビビネックス ジェメトリックVivinex Gemetric非球面3焦点型〇(約40cm)最も少ない2024年最新レンズ
仕事などでほぼ毎日夜間に車を運転される方、近くもそこそこ見えたい方
テクニスシナジーTECNIS Synergy回折型連続焦点型◎(約35cm)あり遠くから手元までしっかり見たい方
夜間の運転が少ない方
クラレオンパンオプティクスClareonPanOptixTrifocal回折型3焦点型〇(約40cm)やや少ない近くもそこそこ見えたい方
夜間の運転が少しある方
クラレオンビビティClareon Vivity焦点深度拡張型(EDOF)△(約40cm)◎(約70cm)かなり少ない仕事などでほぼ毎日夜間に車を運転される方、手元はそこまで見えなくても良い方
ファインビジョンHPFINEVISION HP回折型3焦点型◎(約35cm)あり遠くから手元までしっかり見たい方
夜間の運転が少ない方
インテンシティIntensity回折型5焦点型少ない新しいレンズを希望する方
なるべく眼鏡なしで生活したい方

オデッセイ、ジェメトリック以外のレンズについて詳しくは以下のリンクよりご確認ください。

多焦点眼内レンズについて|経堂こうづき眼科-世田谷区経堂駅直結 経堂コルティ2階(日帰り白内障手術)
世田谷区の経堂駅徒歩1分の眼科。土日祝診療。駐車場完備。日帰り白内障手術、緑内障、小児眼科。区検診対応。麦粒腫や結膜炎、アレルギー。レーザーも即日行います。

多焦点眼内レンズ、結局どれがおすすめなの?

昔に比べて遠くも近くもよく見えるようになって、多焦点眼内レンズが「老眼を治す」と宣伝されるほど質が上がったのは分かった。
それで、結局どの多焦点眼内レンズを選ぶのが正解なの?

上月院長
上月院長

ご自身の生活スタイルに最も適したレンズを選んで頂くことがなによりも重要です。
「近くはどこまでしっかり見たいのか?」「夜は運転するのか?」など、カウンセリングの際に患者さんの生活やニーズをしっかりと聞き取りさせて頂いた上で、より適切な眼内レンズを提案させていただきます。

最新の多焦点眼内レンズは改良が重ねられており、どれも見え方の質はよいですが、それぞれ得意・不得意があるため、ご自身の生活スタイルに合った眼内レンズを選ぶことがなによりも大切です。

たとえば、近くもしっかり見たいという方は、シナジーオデッセイのような近方視力に強いレンズを選ぶと良いでしょう。
夜間運転を頻繁に行う場合や、眩しさが気になる方には、ジェメトリックのようなハロー・グレアが最も軽減されるレンズを選ぶと快適です。
また、全体的なバランスを重視する方には、オデッセイが適していると言えます。オデッセイは、バランスの取れたレンズとして注目されています。

その他、まだ選定療養の対象外のため全額自費になり高額にはなりますが、インテンシティという回折型5焦点型レンズなどもあります。

ただ、「1点をくっきり見たい」「手元の非常に細かい作業が多い」といったような方など、場合によっては単焦点眼内レンズのほうが向いていることもあります。たとえばカメラマンの方やデザイナーの方などが挙げられます。
単焦点眼内レンズはいわゆる老眼と同じ見え方になるため、近くか遠くかしか見えず、多焦点眼内レンズに比べて眼鏡を使用する頻度は上がりますが、一方で多焦点眼内レンズよりも見え方の質が高いというメリットもあるからです。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。

白内障手術のレンズ選びで何より重要なのは、手術後の生活の質の向上であり、患者さん自身の満足度です。そのため、眼科医としっかり相談し、ご自身の生活スタイルに合った眼内レンズを決定することをおすすめします。

ご自身が「信頼できる!」と感じたクリニックでカウンセリングを受けることが重要ですので、レンズ選択で迷われている方や白内障手術を検討されている方は信頼できる医師のもとでいろいろと相談をされてみて下さい。

「どういったクリニック・病院で白内障手術の相談をすればよいのか?」「どういった眼科医が名医と呼ばれるのか?」という点については、以下の記事で詳しく書かせて頂いておりますので、気になる方は合わせてご覧ください。

医療法人社団慶月会では、患者さんに寄り添い、生活スタイルを詳しくお伺いした上で、より適切な眼内レンズをご提案させて頂いています。
また、実際の手術は白内障手術はもちろんのこと、硝子体手術という難しい手術を専門で行っている医師が行います。

当法人は経堂こうづき眼科と王子さくら眼科、2院展開しておりますので、ご来院しやすい方にお越しください。

経堂こうづき眼科

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TEL:03-5799-7276

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経堂白内障手術クリニック

手術は以下のクリニックで行います。経堂こうづき眼科から徒歩30秒です。

経堂白内障手術クリニック | 世田谷区の日帰り白内障手術クリニック
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この記事の監修

経堂こうづき眼科院長
白内障
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