白内障とは、目の中にある「水晶体」という部分が濁ってしまう病気で、加齢とともにほぼすべての人に発症するとされています。
水晶体が透明であるとき、私たちははっきりと物を見ることができます。
しかし、白内障になると、この水晶体が白く濁ってしまい、まるで霧がかかったような視界になります。そのため、視力が下がったり、物がぼやけて見えたり、夜間の視力が低下したりすることがあります。
白内障の主な治療方法は、手術です。
手術では、濁った水晶体を取り除き、代わりに人工のレンズを入れることで、視力を回復させます。
白内障手術自体は点眼麻酔の上で行うため痛みもほぼなく、基本的に片眼5〜10分程度で終わります。
しかし、
この記事では、術後のケア方法や視力回復の過程、白内障術後の日常生活の変化について詳しく説明します。
白内障手術を検討している方、またはすでに手術を受けた方にとって、有益な情報を提供できることを目指しています。
術後のケアと日常生活について
手術後に最も気をつけることは「目の感染(眼内炎)の予防」です。
医師から点眼を指示されますので、
以上が感染を防ぐために効果的です。
手術当日
手術当日は入浴・シャワーは控えて、安静を保って下さい。
手術翌日
術後翌日は術後の経過観察のため、クリニックに来院していただきます。
なお、まだ洗顔・洗髪はできませんので、お顔や頭は固くしぼったタオルやウエットティッシュなどで拭く程度にして下さい。
ただし、美容室や理容室での洗髪は可能です。
手術3日後
経過観察のため、クリニックに来院していただきます。
術後1週間
経過観察のため、クリニックに来院していただきます。
なお、車の運転、力仕事、激しい運動に関しては、主治医の許可を得てから再開するようにして下さい。
術後1ヶ月
経過観察のため、クリニックに来院していただきます。
目の状態が落ち着いてくる時期です。
医師の指示のもと、
などが可能になる場合がほとんどです。
ただし、患者さん個人の目の状態にもよりますので、実際のタイミングに関しては主治医の指示に従ってください。
通常通りの生活に戻るのは、少なくとも1ヶ月程度を目安にしてください。
長期的な生活について
白内障手術で用いる眼内レンズ(人工の水晶体)は半永久的に使えますので、特別な理由がない限り、レンズを交換することはほとんどありません。
白内障手術を受けて頂くことで、長期的な視力回復が見込めます。
ただし、白内障手術を受けてしばらく経つと「後発白内障」と呼ばれるものにより見えにくさを感じることがあります。
後発白内障について詳しく説明していきます。
後発白内障について
白内障の手術後、数ヶ月〜数年して、手術前のように「まぶしくなる」「目がかすむ」ことがあります。
これは「後発白内障」と呼ばれ、水晶体後嚢(手術の際に眼内レンズを入れるために残したもの)が濁ってくることが原因です。
後発白内障を生じた場合には、手術・入院などは必要なく、レーザー治療で簡単に取り除くことができます。
5分程度で終わり、痛みもほとんどありません。

YAGレーザー
当院でもYAGレーザーによる後発白内障治療を行っておりますのでお気軽にご相談ください。
術後の見え方について
白内障手術後の見え方については、術後、目の状態が安定するまで度数にズレが生じる可能性があります。
翌日から見えていることがほとんどですが、安定する時期には個人差があります。
一般的には術後1〜3ヶ月で状態は落ち着いてくるとされています。
状態が落ち着くと見え方(目の度数)も安定し、眼鏡作成が可能となります。(必要に応じて遠用または近用の眼鏡を作成していきます。)眼鏡作成は術後1ヶ月以上経ってからをおすすめしていますが、希望が強い場合は早期に作ることも可能です。
術後の見え方に関して、目の状態や感じ方によって個人差はありますが、一般的な見え方についてお話します。
よく見えるようになった
白内障以外に特に目の異常がない場合、術後の翌日から、「とてもよく見える」、「すごく見えやすくなった」と喜んで頂けることが多いです。
白内障は徐々に進行する病気のため、ご自身が「見えにくさ」に関して自覚がない場合も多いため、白内障手術を受けたあと「景色がすごく鮮やかに見える!」と驚かれる方もたくさんいらっしゃいます。
眼内レンズでの見え方に脳が慣れない
白内障手術では、白内障になった自然の水晶体を取り除き、代わりに人工の眼内レンズを挿入します。
そのため、この新しいレンズを入れた直後は目の見え方が変わるため、脳が「えっ、何これ?」となることがあります。
長い間目が少しずつ曇ってきたのに慣れていた脳が、急にクリアになった視界に戸惑ってしまい、なんだか見えづらいなと感じてしまうのです。
ほとんどの場合、この「慣れない」状態は一時的です。
日常生活を続ける中で、脳は新しいレンズを通した見え方に徐々に慣れていきます。
しかし、中には適応に時間がかかる方もいらっしゃいます。
その場合、定期的な検査で他の合併症や問題がないかを確認しつつ、医師のカウンセリングを受けられることをおすすめします。
眩しく感じる
手術で水晶体を取り除き人工のレンズを入れることで、光がしっかりと目の中に入るようになり、眩しさを感じることがあります。
手術で取り除かれた白内障の水晶体が曇っていたため、それまでの視界は暗く感じていたのです。
そのため、突然の明るさに目が慣れず眩しいと感じることがあります。
夜間のライトが眩しく、輪がかかって見える
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参天製薬「眼内レンズの選び方」より引用
いわゆるハロー・グレアと呼ばれる現象です。
光が眼内レンズに反射して散乱することで起こります。
特に明るい光を直接見たり、夜になるとこの現象を感じることがよくあります。
最初は少し気になるかもしれませんが、だんだんとその感覚に慣れてくる人が多いです。
視界に黒いものが飛んでいる(飛蚊症)
飛蚊症とは、視界に黒い点や線が浮かんで見える現象を指します。
手術を受けて視力が良くなった後、以前から存在していた飛蚊症に気付くことや、それが気になるように感じることがある人もいます。
多くの飛蚊症は自然なものですが、稀に網膜がはがれる可能性のサインとして現れることも。
飛蚊症が気になる場合は、眼科でのチェックをおすすめします。
なかなか視力がよくならない?
中には、白内障手術を受けたのに、すぐには視力がよくならない、と感じる方もいらっしゃいます。その場合、どういった理由があるのか説明していきます。
網膜に元々疾患がある
例えば加齢黄斑変性など網膜に疾患がある場合、白内障手術をしても思ったほど見えにくさが改善されない場合があります。この場合、術前にご説明致しますのでご安心ください。
白内障が進行しており、難易度の高い手術だった
難易度の高い手術などで手術時間が長くなると、手術後すぐは角膜にむくみが出るためしばらく見えづらいことがあります。そういった可能性のある場合、術前にご説明いたしますのでご安心ください。
白内障手術の必要性
白内障手術を行うことで、「視力の回復」「生活の質の向上」「他の眼疾患の治療がしやすくなる」といったメリットがあります。
白内障によって、見えにくさ、霞み、まぶしさを感じている方は手術をすることでそれらの症状の改善が期待できます。
白内障手術前は手術後には患者様から、「すっきりした・よく見える」、「家事がしやすくなった」などの嬉しいご感想を頂くことも多く、視力が回復することで「生活の質が向上する」ことにもつながります。
また、白内障の程度が強い場合には、目の奥(眼底)が見えにくく、目の病気があるかを医師が判断しづらい状態です。
白内障手術を受けて頂くことで、眼底の状態を正確に診察でき、白内障以外の眼疾患があった場合にも適切な治療を受けて頂けることにもつながります。
まとめ
白内障手術を受けた後は、日常生活の面で数日間は普段の生活と変わる点もありますが、手術前・手術後にしっかりとご説明させて頂きますのでご安心ください。
経堂こうづき眼科と王子さくら眼科、2院展開しておりますので、ご来院しやすい方にお越しください。
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