白内障は加齢に伴って発生することが一般的で、視力の低下や光の乱反射による眩しさなどの症状が現れる目の疾患です。
白内障手術は、この症状を改善し、視力を回復させるために行われる治療法です。
しかし、手術を受けるかどうかは患者さん一人ひとりの状況やニーズによって異なります。
本記事では、白内障手術の適切な時期や手術のメリットとデメリットについて解説し、手術を検討している方やご家族に役立つ情報を提供します。
手術を受けるべきかどうかを判断する際の参考にしていただけると幸いです。
下記youtube動画では年間3万人以上の患者を診察している院長の上月が、対談形式でわかりやすく説明しておりますのでぜひ合わせてご覧ください。
白内障とは

白内障とは、目の中にある水晶体という部分が徐々に濁ってくる病気です。
この水晶体が濁ると、光がうまく目の奥まで届かず、視力が低下したり、物がぼやけて見えたりします。
白内障の原因

この他の原因としては、
などがあります。1)
参考文献:1)所敬. 現代の眼科学 改訂第12版. 金原出版, 2015 , 219.
白内障の症状

白内障の代表的な症状としては、
などがあります。
また、白内障が進んでくると目の度数が変化(近視化、乱視化)することがあるため、眼鏡が合わなくなったと感じる方もおられます。
白内障について詳しくお知りになりたい方は以下のページをご確認ください。
白内障の治療について-手術なしで白内障は治療できる?

白内障の治療には
があります。
ただし、点眼薬による薬物療法は、白内障の進行を少しでも遅らせることを目的としており、白内障を治したり、進行を完全に止めたりすることはできません。
ある程度進行した白内障は「手術で治す」ということになりますので、
白内障の症状にお困りの方には白内障手術をおすすめしています。
白内障手術とは
白内障は目の水晶体という部分が濁ってくる疾患であるため、手術では濁った水晶体を取り除き、その水晶体の代わりとなる眼内レンズ(人工の水晶体)を挿入します。
成人では通常、局所麻酔で行います。
白内障手術について
「手術」と聞くと、怖い・大変そうと思われる方もたくさんいらっしゃいますが、白内障手術はほとんどの場合短時間(当院では5~10分程度)で終了します。
また、目薬による麻酔を行うため(点眼麻酔)、痛みもほとんどありません。
そのため、手術後は「もう終わったの?」「怖くなかった」と笑顔で言われる方がたくさんいらっしゃいます。

白内障手術は、近年の技術向上により、安全性が高く、成功率も非常に高い治療法となっています。
手術では、専用の器具を用いて目の中の白く濁った「水晶体」を細かく砕き、吸引除去したあと、クリアな「人工眼内レンズ」を挿入することで、視力を改善します。



また、麻酔も局所麻酔が一般的で、全身麻酔が必要なケースはほとんどありません。
これにより、手術に伴うリスクが大幅に低減され、手術後の回復も早いことが特徴です。
手術のリスクは最小限に抑えられていますが、それでも手術前には医師としっかりと相談し、自分の状況や手術のメリット・デメリットを理解した上で、手術を受ける決断をすることが大切です。

白内障手術の適応 – 白内障手術に向いている人、向いていない人
白内障手術は非常に安全ですが、すべての人に適しているわけではありません。それでは、白内障手術が向いている人とそうでない人について詳しく見ていきましょう。
白内障手術が向いている人
- 白内障による症状(視力低下・霞み・まぶしさ)で不自由さを感じている方
- 健康状態に問題がない方
白内障手術が向いていない人
- 白内障が軽度で生活に支障がない方
- 手術を受けるか悩まれている段階の方
- 健康状態がよくない方
- 手術中に意思の疎通が難しい方
特に、「健康状態が良くない方」「手術中に意思の疎通が難しい方」に関しては、白内障手術のリスクが高くなるため、白内障手術の難易度が高くなったり、手術自体が難しくなったりすることが多いです。
そのため、実際は手術を受けるか悩まれている場合でも、白内障が進行しており、実際に視力の低下を感じられている場合は将来的なことを考えて「健康なとき」になるべく早く白内障手術を受けられるのが好ましいです。
白内障手術のメリット
白内障による症状で日常生活に不自由さを感じておられる方は、手術をすることで以下のようなメリットがあります。
視力の回復

濁った水晶体を取り除き、透明な人工のレンズ(眼内レンズ)に置き換えることで視力の回復が見込めます。
また、白内障による霞み・まぶしさの症状も改善されます。
白内障は徐々に進行していく病気のため、脳が見えにくい視界に慣れてしまい、術前はあまり症状を自覚されていない方も多いのですが、
白内障手術を終えると「こんなにきれいに景色が見えるなんて!」と感動される方がたくさんいらっしゃいます。
生活の質の向上

先程も申し上げたように、白内障は徐々に進行するため、多くの人がいつの間にか見えにくい状態になってしまいます。
視力の低下に気づかず、自分が白内障であることを自覚していない人も少なくありません。
白内障手術を受けることで、視界がすっきりし、よく見えるようになるため、手術後は多くの患者さんから
といった嬉しいご感想をいただくことも多いです。
手術によって改善された視力は、ストレスの軽減や自信の向上にもつながります。
これにより、患者さんの心身の健康状態が全体的に向上し、生活の質が大幅に改善されることが期待できるのです。
白内障手術は、現代の医療技術によって高い安全性と成功率を誇り、多くの人々にとって、視力の回復と生活の質の向上に大きく貢献しています。
他の眼疾患を正確に診断できるようになる

白内障の程度が強い場合には、目の奥(眼底)が見えにくいことがあります。
眼底が見えにくいということは目の病気があるかを医師が判断しづらい状態です。
白内障手術を受けて頂くことで、眼底の状態を正確に診察でき、白内障以外の眼疾患があった場合にも適切な治療を受けて頂けることにもつながります。
他にも、房水の流れが滞ることで起こる緑内障(閉塞隅角緑内障)に関しては、白内障手術を行うことで眼圧を下げることができます。
閉塞隅角緑内障と白内障手術について詳しくは以下のリンクをご覧ください。
白内障手術のデメリット

白内障手術は多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
これからデメリットについて説明いたしますが、実際にはほとんど気にする必要がないことをご安心ください。
それでも、手術を検討されている方にとっては知っておくべき点があるため、詳しく解説していきます。
メガネが必要になる場合が多い

白内障手術の後は、眼鏡が必要となることが多いです。
理由は、手術で用いる眼内レンズは基本的には「単焦点レンズ」となるからです。
単焦点とは、その言葉の通り、ピントの合う距離が1つという形になります。
どの距離にピントを合わせるか患者様とご相談させて頂いた上で、それ以外の距離は眼鏡を使って見て頂きます。
ただ、老眼の場合はもともと調節力がなく、ピントが合うのは1点だけです。
そのため、元々老眼の方に関しては、白内障手術前と比べても視力の調節に関しては大きな違いはありません。
また、もともと近視が強く遠くがよく見えないという方は、選ぶ眼内レンズによっては遠くもよく見えるようになります。
実際に手術後、適切な眼鏡を使用すれば、見え方は向上し、生活の質が上がることが多いです。

遠くも近くも眼鏡なしで見たいという方には、「多焦点眼内レンズ」というものがあります。
「単焦点眼内レンズ」はピントの合う点は1点ですが、多焦点眼内レンズではいろんな距離にピントを合わせることができますので、眼鏡を使うことが少なくなります。


使用するレンズによってメリット・デメリットがありますので、どのレンズを用いるかは患者様お一人おひとりの生活スタイルやご希望に合わせてご相談の上、決定いたします。
多焦点眼内レンズの種類について詳しくは以下のリンクをご覧ください。
白内障手術によって、老眼であっても視力の改善が期待できることから、手術を受けることで見え方が良くなり、日常生活が快適になることが期待できます。
ただし、手術後も眼鏡が必要となることを理解した上で、手術を検討することが大切です。
手術のリスクと合併症

白内障手術は、手術時間が短く、安全に受けられる手術ですが、リスクがゼロではありません。
主なリスクとしては、
などがあります。
このようなリスクがありますが、術者の技量や機械によって、合併症のリスクを下げることができます。
当院では、
以上から、低リスクでの手術が可能です。
詳しくは以下のリンクをご覧ください。

それでも、白内障手術における合併症のリスクに関して知っておくことは重要です。
適切な術後ケアを行い、定期的な検診を受けることで、さらにリスクを軽減することができます。当院では患者さんの安全と安心を最優先に考え、万全のケアを提供しております。
術中の状況によっては手術が1度で終わらない(ほとんどありません)
白内障手術は通常、1度の手術で終わることがほとんどですが、まれに術中の状況によっては追加の手術が必要になることがあります。
しかし、これは非常にまれであり、現代の医療技術の向上によりほとんどの場合、1度の手術で問題が解決されます。
人工レンズの調整や交換の可能性
眼内レンズは生体に安全な樹脂でできており、半永久的に使えますので、特別な理由がない限り、レンズを交換することはほとんどありません。
ただし、以前、あるメーカーのレンズで、レンズ内に水滴ができる・カルシウムが沈着して白っぽく濁るなどの現象が報告されたことがありました。
これらは自覚症状がないことが多いものの、人によっては見え方のコントラストが悪くなる原因とされています。
この報告から製法が見直され、現在は問題の報告はありません。
原因も分かっているので、絶対に劣化しないとは言えませんが、ほぼ心配はないと思われます。
他にも、レンズの劣化を防ぐためには、患者さんに合ったレンズを選ぶことも重要だと言われています。
当院では丁寧なカウンセリングの上で、患者さんの生活スタイルにより適したレンズを一緒に選んで参ります。

白内障手術後は調整等のメンテナンスも必要ありませんが、手術の後に、水晶体後嚢(眼内レンズを入れるために残したもの)が濁ってくる「後発白内障」を生じた場合にはレーザー治療が必要になるケースがあります。
経堂こうづき眼科では、後発白内障に対するレーザー治療(YAGレーザー)も行っております。
YAGレーザーによる後発白内障治療は痛みもなく、1-2分程度で終わります。

また、強い衝撃で頭を打つと、眼内レンズが目の中で大きく動いてしまうことがあります。
何年か経ってからのずれが多く、発生率は6-12年で1-3%です。
そんな時は、レンズを元の位置に戻す手術を受けることで、またきちんと見えるようになります。
「目の手術」と言われると怖そうに感じる

「手術」と聞くと「なんだか怖そう…」と不安に思う方も多いと思います。
特に初めて白内障手術を受けられる方は不安も大きいと思いますが、当院では熟練した術者と高度な機械を使って行いますので、
手術にかかる時間はほとんどの症例で5~10分程度と非常に短いです。
そのため、当院で白内障の手術を終えた方々は
と笑顔で手術室から出て来られる方も多いです。

費用

手術というと、「高いのでは?」と思われる方もいらっしゃるかと思います。
手術費用に関しては、「高額医療費制度」というものがあり、1ヶ月間(1日から末日)の医療費が高額となった場合に、一部が払い戻される制度です。
負担の上限額は年齢や所得に応じて異なります。
詳しくは以下のリンクをご覧ください。
※外部リンクに繋がります
白内障手術の適切な時期やタイミングについて

白内障手術は、「急いですぐに手術」ということは少なく、基本的には医師や家族・周りの方と相談をして頂きながら、手術の時期を決めていきます。
当院では、術後に翌日、3日、1週間、1ヶ月での定期的な受診をお願いしていますので、その辺りも含めて日程を調整して頂いております。
白内障手術後の日常生活について詳しくは以下のリンクをご参考ください。
白内障手術をおすすめする人

白内障手術をおすすめする人は、白内障による症状(視力低下やまぶしさ、霞み)が日常生活での不自由さを感じている方です。
例えば、運転や読書、趣味などで視力の低下が障害となっている場合、手術によって症状が改善され、生活の質が向上します。
まだ白内障手術をしなくても良い人

一方で、まだ白内障手術をしなくても良い人は、白内障が軽度で日常生活に大きな不自由さを感じていない方や、手術をすることにまだ悩んでいる段階の方です。
白内障の進行が遅く、症状が軽い場合は、手術の必要性が低いこともあります。
しかし、白内障が進行しすぎると手術の難易度が上がることもあるため、白内障の種類・程度によっては、早めの手術をご提案させて頂くこともあります。
定期的な検診を受け、症状の進行を確認し、適切なタイミングで手術を検討することが大切です。
白内障手術のタイミングについては、以下の記事もご参考ください。
まとめ-白内障手術を受けるべきかどうか
白内障手術に関しては、基本的には医師や家族・周りの方と相談をしながら、受けるかどうかを決めて頂ける手術になります。
そのため、重要なのは信頼できる眼科医を見つけること。
実際に手術を終えた患者様からは、「すっきりした・よく見える」「家事がしやすくなった」など、生活の質が上がったという嬉しいご感想を頂くことも多いです。
白内障手術を受けるか悩まれている方や「見えにくいさ・霞み・まぶしさ」などの症状がある方は、ぜひ一度当院を受診して頂き、医師にいろいろ相談をしてみて下さい。
医療法人社団慶月会にて白内障手術について詳しい話を聞きたい・相談してみたいという方はwebからご予約頂けます。
よろしければご家族の方も一緒にご来院ください。
※webでの日程が合わない場合、予約なしで直接ご来院ください。
東京都内には、世田谷区経堂「経堂こうづき眼科」と北区王子の「王子さくら眼科」2つのクリニックがありますので、ご都合に合わせてお選びください。
熟練の執刀医・スタッフと最高級の機械を使用し、患者さん一人ひとりに合わせた丁寧なケアを行っておりますので、安心してご相談いただけます。
下記youtube動画では年間3万人以上の患者を診察している院長の上月が、対談形式でわかりやすく説明しておりますのでぜひ合わせてご覧ください。
経堂こうづき眼科
〒156-0052 東京都世田谷区経堂2-1-33 経堂コルティ 2F
小田急線経堂駅すぐショッピングモール内
TEL:03-5799-7276
診療受付時間: 午前10:00-13:00 午後15:00-18:30
※木曜日休診、日曜祝日18:00まで
土日祝も診療を行っております。(木曜休診日)
経堂白内障手術クリニック
手術は以下のクリニックで行います。経堂こうづき眼科から徒歩30秒です。
経堂こうづき眼科予約について
白内障手術の予約相談を受け付けております。よろしければご家族の方も一緒にご来院ください。 webでの日程が合わない場合、予約なしで直接ご来院ください。
王子さくら眼科
〒114-0002
東京都北区王子1丁目10-17 ヒューリック王子ビル 5F
京浜東北線/東京メトロ南北線「王子駅」北口徒歩30秒 みずほ銀行の上
TEL:03-6903-2663
診療時間: 午前9:30〜13:00 午後15:00〜18:30
休診日:日曜日

王子さくら眼科予約について
webでのご予約も承っております。
web予約内での日程が合わない場合、予約なしで直接ご来院ください。