ACジャパンで放送中のアイフレイルって何?セルフチェック・予防・治療まで徹底解説

アイフレイルって何? 未分類

「フレイル」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。フレイルとは、日本語で「虚弱」を意味し、健康な状態と要介護の状態との中間に位置する概念を指します。高齢化社会が進む中、国や自治体が「フレイル対策」を推進しており、体力や筋力だけでなく、認知機能・社会生活力が低下しつつある状態を早期に捉えることで、予防と対策を行おうという取り組みです。

この「フレイル」の中にはいろいろな側面がありますが、最近注目されているのが「アイフレイル」です。昨今、テレビCMでよく耳にする方も多いのではないでしょうか。

アイフレイルとは、加齢に伴う目の機能低下を指す概念で、「健康な視機能」と「高度な視機能障害」の間に位置する状態を包括的に捉えるものです。

アイフレイルとは何か?

アイフレイルは、2021年に日本眼科啓発会議が提唱した用語で、40歳以上になると誰しも経験しうる、加齢による目の衰えに着目したものです。

アイフレイルの具体例

  • 「夕方になると文字がかすむ、読書がつらくなる」
  • 「まぶしさを強く感じるようになった」
  • 「段差や階段が怖くなった」
  • 「黒板や標識を見落としそうになる」
  • 「真っ直ぐの線が波打って見えることがある」
  • 「めやにが増えた、目の乾きがつらい」

これらは単なる老化現象かもしれませんが、視機能障害につながる病気の初期症状である可能性も否定できません。早期発見や適切な治療・ケアを怠ると、将来的に自立した生活が難しくなるリスクが高まり、健康寿命が短縮するおそれがあります。

アイフレイルと健康寿命 目の衰えは全身のフレイルに影響する

日本人の平均寿命は男性81.05歳、女性87.09歳(2022年)ですが、健康上の問題で日常生活が制限されない「健康寿命」とは約10年の差があります。フレイル(虚弱)を予防し、健康寿命を延ばす取り組みが喫緊の課題とされる中、アイフレイルの進行が身体的・社会的フレイルに影響することが指摘されています。

  • 視力が低下すると転倒リスクが上昇し、足腰を痛めたり外出を敬遠したりする
  • 外出が減ると社会活動が減り、認知機能や生活意欲の低下を招く
  • さらに視力が低下すると自動車運転の制限が出て生活範囲が狭まり、仕事にも影響する
  • 独居高齢者などでは買い物や調理が難しくなり、栄養バランスが崩れ、フレイルを悪化させる

アイフレイルは単に「目が見えづらくなる」だけの問題ではありません。人生100年時代、良好な視機能を保つことこそが全身の健康寿命を支える重要な鍵なのです。

アイフレイルを早期発見するためのセルフチェック

以下の項目で当てはまるものにチェックを入れてから「診断する」ボタンを押してください。

その他のチェックシート

アムスラーチャート

直線が波打って見えるかどうかを確認することで、黄斑部の異常をチェックします。

アムスラーチャート
  1. 30cm程度離れた距離から行います。新聞や本を読むためのメガネがあればかけたまま行って下さい。
  2. 片目を隠した状態で、表の中央にある黒い丸●を見つめます
  3. 片目が終わったあと、もう片目も行います。

下記のように見えたり、見え方に違和感がある場合は早めに眼科へお越しください。チェック用紙を印刷していただき、それに見え方を書き込んで頂いた上でお持ちいただきますとよりスムーズに診察が行なえます。

アムスラーチャートのチェック

視野の欠け簡易チェック

視野の欠損や歪みを簡単に把握できます。

コントラスト感度 簡易セルフチェック

コントラストが低いものを認識しづらくなっていないか、視機能の劣化を測定。

「おうちでかんたん見え方チェック『アイミルン』」

AImirun(アイミルン)は、視力測定を日常的に行い、変化にいち早く気づくきっかけを作ることを目的とした、眼科専門医との共同開発アプリケーションです。

セルフチェックを行い、もしかして?と思ったら眼科を受診しましょう。もし何もなかったとしても、40代以上の方の20人に1人は緑内障と言われているので、40歳を過ぎたら年に1度は目の検査を行うことをおすすめしています。


アイフレイルを引き起こす主な病気・原因

アイフレイルとは、加齢によって目に起こる機能低下を総称した概念ですが、その背景には多彩な疾患が隠れている場合があります。特に以下の病気は、視機能障害の大きな原因となり得るため要注意です。

老視(老眼)

40歳前後から毛様体筋や水晶体の柔軟性が低下し、近くが見えづらくなる現象。老眼鏡などで対処可能ですが、加齢の自然現象と油断してしまうと他の目の病気を見逃すリスクもあるため、定期的な眼科検診がおすすめです。

老眼について詳しくは以下の記事をご覧ください。

老眼にならない人の特徴?老眼になると近視が治る?老眼のメカニズムと治療法を解説
老眼という言葉は、多くの方にとって身近な存在かもしれません。「スマホが見えづらい」「小さい文字が読みにくい」……40代を過ぎた頃から、こうした変化を感じ始める方も少なくありません。老眼は「老」という字が付くため、加齢にともなう自然現象のよう...

白内障

水晶体が濁って視力が低下する疾患。初期症状はかすみやまぶしさなど。手術で濁った水晶体を摘出し、眼内レンズを挿入することで視力回復が見込める場合が多いです。白内障手術のタイミングやメリット、デメリットに関しては以下の記事をご覧ください。

多焦点眼内レンズという特殊な眼内レンズを挿入することで、白内障といっしょに老眼を治療することも可能です。

緑内障

目から脳へ信号を送る視神経が障害され、視野が欠けていく病気。初期の段階では気づきにくく、検診で発見されることが多いです。点眼やレーザー治療で眼圧を管理し、進行を抑えることが重要になるので、早めに気づくことが重要です。

緑内障とは|経堂こうづき眼科-世田谷区経堂駅直結 経堂コルティ2階(日帰り白内障手術)土日祝診療
世田谷区の経堂駅徒歩1分の眼科。土日祝診療。駐車場完備。日帰り白内障手術、緑内障、小児眼科。区検診対応。麦粒腫や結膜炎、アレルギー。レーザーも即日行います。

糖尿病網膜症

糖尿病の合併症で、高血糖によって網膜の血管がダメージを受ける。進行すると硝子体出血や網膜剥離を起こし、重度の視力低下につながる。糖尿病患者は定期的な眼底検査が必須です。

加齢黄斑変性

視力の要である黄斑部に新生血管や変性が生じ、ゆがみや視野の中心が見えにくくなる。抗VEGF薬の硝子体内注射など治療法が確立されているが、早期発見・早期治療が視力維持のカギ。

加齢黄斑変性|経堂こうづき眼科-世田谷区経堂駅直結 経堂コルティ2階(日帰り白内障手術)
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アイフレイルの検査 どんなことをするの?

視力検査

  • 裸眼視力矯正視力を測定。
  • 5mの距離での遠見視力だけでなく、30cm程度の近見視力(老眼の有無)も確認することが大切です。

視力検査は最も馴染み深いものかもしれませんが、実は検査員の技術力が重要な検査でもあります。当院では国家資格である眼科の専門検査員「視能訓練士(CO/ORT)」が検査を行います。

眼底検査

  • 網膜や視神経を直接観察し、緑内障・糖尿病網膜症・加齢黄斑変性などを発見。
  • 散瞳が必要な場合は、半日ほど瞳孔が開いたままになるので、車の運転は避ける。
無散瞳デジタル眼底カメラ
CR-2 PLUS AF
無散瞳デジタル眼底カメラCR-2 PLUS AF

更に、OCTという機械では目の奥の断面図(断層)を検査できます。

三次元光干渉断層計/OCT CIRRUS HD-OCT plus 5000
三次元光干渉断層計/OCT CIRRUS HD-OCT plus 5000

眼圧検査

  • 目に風を当てたり、機器を使って眼球の固さを測定。
  • 正常範囲内でも緑内障の可能性はあるため、眼圧正常値=安心とは限らない。

目に風を当てる検査になるため、苦手だと感じられる方がほとんどだと思います。ただ、目の硬さ(=眼圧)が高い状態だと失明につながるおそれがあるため、非常に重要な検査です。

マルチファンクションレフケラトメーター 眼圧計

視野検査

  • 真っ直ぐ前を見た状態での見える範囲を調べる。
  • 緑内障など視野欠損が起こる疾患の早期発見に役立つ。

集中力が必要になるため、疲れる検査だと感じられる方が多いかもしれません。近年、負担の少ない機械も出ています。

ハンフリー

アイフレイルを放置するとどうなるか

視機能障害の進行を放置すれば、自動車運転や読書、料理、外出など日常生活の様々な場面で支障が出てきます。さらに重度の視機能障害に至ると、人の顔がわからない、薬を正しく管理できないなど、自立生活を大きく脅かす事態になりかねません。

健康寿命の短縮リスク

視力低下は足腰の衰えや認知症リスクとも関連が深く、結果として健康寿命を短くする恐れがあります。段差につまずきやすくなったり、外出機会が激減したりすることで社会から孤立しがちになるなど、悪循環に陥りやすいのです。

40歳を過ぎたら、定期検診を意識しよう

日本眼科啓発会議の調査によれば、40代以降の半数近くが**「視覚に不安を抱えている」**と回答しています。しかし、自覚症状があっても眼科検査を受けないまま放置している人は約4割にも上るという結果も。

  • 緑内障糖尿病網膜症など、最初は無症状のまま進行している場合が多い
  • 発見が遅れると手遅れとなり、視野欠損や重度視力低下を招く
  • 年に1回、あるいは2年に1回でも構わないので、定期的に目の検診を受けるのが理想

セルフチェック+医療機関受診の2ステップで目の健康を守る

セルフチェック

先ほど記事内で紹介したセルフチェックで定期的に自身の目の状態を確認しましょう。
以下のアイフレイルのサイトでもチェックが可能です。

早めの受診

セルフチェックで少しでも異常が疑われたり、自覚症状(夕方の見えづらさ、まぶしさ、視野の歪みなど)を感じたりしたら、眼科専門医の受診を検討しましょう。

仮に重篤な病気が見つからなくても、老眼・ドライアイ・白内障の進行度などを把握でき、必要に応じてケアや点眼を開始できます。

まとめ アイフレイルの予防・対策で健康寿命を伸ばそう

  • アイフレイルとは、加齢に伴う目の機能低下を指し、視機能障害の予備軍に当たる状態
  • 視力低下や視野障害は、自立生活を難しくし、健康寿命を縮める原因となり得る
  • セルフチェックツール(アムスラーチャートやクロックチャートなど)や定期的な眼科検診で早期発見を目指す
  • 「老眼・白内障・緑内障・糖尿病網膜症・加齢黄斑変性」など、主な目の病気について理解を深め、適切に対処を行う

人生100年時代を元気に生きるためには、「足腰のフレイル対策」や「オーラルフレイル対策」だけでなく、アイフレイル対策が欠かせません。40代になったら、あるいはそれ以前でもスマホやPC作業が増えている現代ならば、早めに検診を受けて眼の状態を把握し、必要な治療やケアを行いましょう。小さな違和感でも放置せず、目の健康維持に取り組むことが、将来の大きなトラブルを防ぎ、明るく豊かな生活を支える鍵となるのです。

参考URL

この記事の監修

経堂こうづき眼科院長
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