当院では毎週 硝子体注射による
治療を行っております。
硝子体注射は、眼の中に注射を打つ治療法です。眼の中に注射と言われるとなんだか怖いイメージを持たれるかも知れませんが、注射の前に目薬による麻酔(点眼麻酔)をしっかりと行いますので、痛みはほとんどありません。
硝子体注射とは、抗VEGF薬と呼ばれる薬液を注射を使って眼の中に直接注入する治療方法です。VEGF(血管内皮増殖因子)は、眼の中に異常が起こった際に血管を安定させようとして現れる物質のことです。抗VEGF薬は、その名の通り「VEGF(血管内皮増殖因子)」を抑える薬です。お薬の種類について詳しくは以下の項目ご覧ください。
ではなぜ眼の中の血管を安定させるためのVEGFを抑える必要があるのでしょうか。
VEGFが現れると「新生血管」と呼ばれる新しい血管が作られます。新生血管はもろくて破れやすく、眼の中のむくみや出血の原因になります。これは急激な視力低下を引き起こし、最悪の場合失明に至ることもあります。
抗VEGF薬を眼の中に直接注入すると、新生血管の生成活動を鈍らせることができ、同時に炎症・出血も抑えることができます。
抗VEGF薬でVEGFを抑えることはできますが、しばらくするとまたVEGFが発生し、新生血管やむくみを引き起こします。これを予防するためには、定期的に抗VEGF注射による治療を行う必要があります。
当院では、視力検査や眼底検査などで眼の状態を定期的に確認しながら、患者様の状態に適したスケジュールでの治療を行っております。
網膜の治療としては他にもレーザー治療を行っております。詳しくは以下のリンクをご覧ください。
硝子体注射の適応となる病気を説明します。
老化などにより黄斑に異常が起こることで視力が落ちたり視野が狭くなったりします。
滲出型と萎縮型に分けられ、硝子体注射は主に滲出型黄斑変性と呼ばれる状態に有効です。
滲出型黄斑変性では網膜色素上皮層と呼ばれる場所に新生血管が現れるため、これを防ぐために硝子体注射を施行します。
網膜静脈が血栓などで詰まると眼底出血が起こります。詰まる血管によって網膜静脈分岐閉塞症や網膜中心静脈閉塞症と呼ばれます。状態によっては放置すると網膜の酸素不足が起こり、 VEGFが発生して新生血管が作られます。これを防ぐために硝子体注射を施行します。
レーザー治療も有効です。
レーザー治療について詳しくは以下のリンクをご覧ください。
糖尿病は様々な症状を引き起こすと言われますが、糖尿病網膜症はそのうちの一つです。糖尿病が原因で網膜の毛細血管が詰まったり、傷ついた血管壁から内容物が漏れ出すことで、網膜が酸素・栄養不足に陥ってしまいます。それを防ごうとしてVEGFが放出され新生血管が発生します。
糖尿病網膜症について詳しくは以下のリンクをご覧ください。
強い近視の場合、眼軸(眼の前後の長さ)が長いことが多く、正常の眼軸長の方に比べると網膜が引き伸ばされて黄斑部周辺の血流が悪い状態にあります。このとき脈絡膜からVEGFが放出されて黄斑に新生血管を形成することがあります。
先発薬品 | バイオ後発品 (バイオシミラー) |
アイリーア® | - |
ルセンティス® | ラニビズマブ |
ベオビュ® | - |
バビースモ® | - |
最も件数が多いのはアイリーアです。その他、患者様とのカウンセリングの中でお薬を選んでいきます。
①点眼麻酔を行います。目薬での麻酔のため痛みはありません。
②眼の中と周囲を消毒し、器具を使って眼を開けたままにします。
③黒目から3〜4mm離れた部分の白目から抗VEGF薬を注射します。当院では34ゲージもしくは30ゲージという細い針を使用しているため、点眼麻酔のみで痛みはほとんどありません。
病気の種類や症状、患者様の状態に合わせて硝子体注射のスケジュールを組んでおります。
たとえば加齢黄斑変性では最初は1カ月毎に3回程硝子体注射を行います。
3回以内で治療が完了することもありますが、約半数の方は再発するとされているため、3回の注射が終わった後も定期的な検査を行います。その後は状態を確認しつつ、必要に応じて注射を行います。硝子体注射を実施しても、病気が完全に治るわけではありません。2、3年間は抗VEGF薬の注射を行う場合もあります。逆に言うと、定期的な検査と適切なタイミングでの注射を行えば、視力の維持が可能です。
当院では症状や状態・患者様自身の生活を踏まえて、丁寧なカウンセリングを行いながら、検査と治療を行って参ります。一緒にお悩みや不安を解決したいと考えておりますので、眼に関して気になることがございましたらいつでもご相談ください。