iStent(アイステント)は、緑内障の進行を抑えるために眼内へ挿入する非常に小さな医療機器(チタン製のステント)です。長さは約1mm、指先に乗るほど小さなチューブ状の構造で、目の中を流れる房水(ぼうすい)の排出を改善し、眼圧を安定させることを目的としています。
日本では2017年に医薬品医療機器総合機構(PMDA)によって承認され、緑内障手術の中でも身体への負担が少ない「低侵襲緑内障手術(MIGS)」の代表的な治療法として注目されています。
当院では、白内障手術と同時にiStentを挿入する「白内障併用iStent手術」を行っております。これは、白内障手術時に作成する小さな切開創からiStentを挿入し、房水の出口である「線維柱帯」という部位にステントを留置することで眼圧を下げるものです。
iStentは承認された安全な手術ですが、以下のような合併症が報告されています。
これらは稀なケースであり、手術前には医師が適応とリスクを丁寧にご説明いたします。
iStent手術は保険適用(高額療養費制度の対象)となっており、白内障手術と併せても実際の自己負担額は大きく変わらないケースがほとんどです。
年齢区分 | 所得・保険割合 | 月の上限額(目安) |
---|---|---|
70歳以上 | 1割負担 | 約8,000円 |
2割負担 | 約18,000円 | |
3割負担(現役並) | 約80,100円+α | |
70歳未満 | 3割負担(一般) | 約90,000円 |
※正確な金額は、住民票のある自治体の窓口でご確認いただくか、「限度額適用認定証」の取得をご検討ください。
iStent手術は、日本眼科学会指定の講習を修了した眼科専門医のみが行える手術です。当院でも、十分な経験と技術をもつ医師が担当いたします。
「点眼が多くて大変」
「これ以上視野が悪くなるのが不安」
そんなお悩みをお持ちの方は、診察時にお気軽にご相談ください。
Q. 手術中は痛みがありますか?
A. 点眼麻酔で行うため、痛みを感じることはほとんどありません。
Q. どれくらい眼圧が下がりますか?
A. 個人差はありますが、1種類の点眼薬を減らせる程度の効果が期待されます。
Q. 費用は高いですか?
A. 保険適用であり、ほとんどの方が高額療養費制度の上限内で収まります。
iStentを用いた白内障同時手術は、緑内障の進行抑制と白内障の改善を同時に実現できる、画期的な低侵襲手術です。
「目薬を減らしたい」「進行が心配」「手術は不安」など、ご不安なことも含めて、まずはお気軽にご相談ください。
患者様一人ひとりに合った最適な治療をご提案いたします。