レッドライト治療で近視を改善する可能性とは?
近年、レッドライト治療は、近視の進行を抑える効果が高いと注目されています。
今回のブログでは、具体的にどのような治療なのか、そのメカニズムや効果について詳しくお話していきます。
下記youtube動画では院長の上月が、対談形式でわかりやすく説明しておりますのでぜひ合わせてご覧ください。
レッドライト治療とは?

レッドライト治療とは、赤い光を見ることで近視の進行を抑制する治療法です。
この治療法は、2014年頃から概念として知られ始め、近年、日本でも実施するクリニックが増えてきました。
なぜレッドライト治療が注目されているのか?

近年、子どもたちの間で近視が急増しています。
特に、学校でのタブレット使用やスマホの普及がその要因として考えられています。
従来は、マイオピンという目薬やオルソケラトロジーといった治療法が近視の進行を抑える手段として用いられてきましたが、レッドライト治療は、これらよりもさらに高い予防効果があるとされています。
レッドライトが近視を抑制するメカニズム
近視になる理由として、眼軸長(眼の奥行き)が伸びてしまうということが挙げられます。


レッドライトは、650nmという波長の光を目に当てることで、その光が強膜(目の奥の膜)に作用し、血流を改善します。
これにより、眼軸長の伸びを抑え、近視の進行を防ぐとされています。バイオレットライト(360〜400nm)と同様に、自然光にも含まれている光の一種で、これが近視の進行抑制に効果があることがわかってきました。
レッドライト治療の効果
近視予防効果としては、レッドライト治療を正しく実施した場合、近視の進行が約87%から88%抑制されるという結果が出ています。

また、従来は一度伸びた眼軸長は戻らないとされていましたが、レッドライト治療では若干の改善が見られることも報告されています。
具体的に言うと、一部の患者さんはレッドライト治療により眼軸長が短くなったのが認められ、26.5%の人が1年間で0.05mm以上の軸長短縮を経験しました。
また、別の試験では、レッドライト治療が0.01%アトロピン点眼薬よりも軸長伸長抑制効果が高いことが示されています。
レッドライト治療の具体的な方法

治療は、専用の機械を自宅に持ち帰り、1日2回、朝と夜にそれぞれ3分間赤い光を見つめるというものです。
これを週5回続けることで、近視の進行を抑制します。
他の治療法との併用は可能か?

レッドライト治療は、オルソケラトロジーとの併用が可能です。
オルソケラトロジーとは寝る前にナイトコンタクトレンズを装着することで、朝起きたときに視力が改善し、裸眼で過ごせるようになるという治療法です。
近視の進行を抑えることに加えて、視力の改善も期待できるため、進行した近視の場合に非常に効果的です。

一方で、マイオピンとの併用は推奨されていません。
マイオピンとは、低濃度のアトロピン点眼で近くのものを見すぎないようにすることで近視の進行を予防する治療法です。
レッドライトとマイオピンの併用が推奨されないのは、マイオピンが瞳孔を拡張するため、光が入りすぎてしまう可能性があるからです。
レッドライト治療のメリット
レッドライト治療は、アトロピン点眼薬と比較して、副作用が少ないと報告されています。
また、「光を見るだけ」なので子供にとっても受け入れやすい治療法である点が大きな利点です。

家庭で簡単に取り組める治療法であり、1日2回、朝と夜に3分ずつ赤い光を見つめるだけで効果が期待できるため、生活に取り入れやすい点も魅力的です。
他にも、レッドライト治療は、0.01%アトロピン点眼薬よりも軸長伸長抑制効果が高いという結果が出ています。1年間の治療後、レッドライト治療群は平均0.08mmの軸長伸長に対し、アトロピン点眼薬群は0.33mmでした。
治療後の経過観察と検査
治療中は、視力検査と眼軸長の測定が重要です。特に眼軸長の測定は治療効果を確認する上で欠かせません。
眼軸長の測定機器は、主に白内障手術を行うクリニックに設置されているため、レッドライト治療を行う際のクリニック選びの参考にしてください。
なお、当院では白内障手術やICL治療(近視治療)を行っており、最新の眼軸長測定装置を設置しています。

白内障手術や近視進行の判断に必要な眼軸長を測定します。
レッドライト治療の効果と注意点
当法人では、レッドライト治療を開始してから、ほとんどの患者で近視の進行が抑制されていることが確認されています。
また、治療を開始してから眼軸長が短くなるという結果も得られています。副作用に関しては、今のところ国内での報告はなく、安全性が高いとされていますが、中国の例では、1件だけ強膜にダメージが発生したという報告があります。
なお、レッドライト治療による近視進行抑制効果は、治療の遵守率が高いほど高くなる傾向があるとの結果が出ています。
レッドライト治療の将来性
近視は、緑内障や脈絡膜萎縮といった重大な眼疾患のリスクを高める要因となるため、予防が非常に重要です。近視の進行は20歳まで進むとされているため、子どもの間の予防が大切です。
レッドライト治療は、近視の進行を効果的に抑制する手段として、今後ますます重要な役割を果たすと期待されています。
レッドライト治療の費用

レッドライト治療は自由診療で、機器の初期費用は15万円から18万円程度、年間のサブスクリプション費用は8万円から10万円ほどかかります。
初期費用はクリニックで支払い、年間のサブスクリプション料金はメーカーに直接お支払い頂きます。サブスクリプション料金についてはまとめ払いで割引などもございます。
詳しくはレッドライト治療についてのページをご覧ください。
まとめとアドバイス
近視は進行しやすく、早めの対応が重要です。レッドライト治療は、近視の進行を効果的に抑える一つの選択肢です。
他にも、マイオピンやオルソケラトロジーといった治療法もあり、それぞれの治療法の特徴を理解し、最適な方法を選ぶことが大切です。近視の進行を防ぐためにも、早めの対策を検討してみてください。
下記youtubeでは院長の上月が対談形式で更にわかりやすく説明しています。
今後の励みになりますので、よろしければチャンネル登録と高評価をお願い致します。
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参考文献
Originally appeared in: Ophthalmology®: Volume 129, Number 5, May 2022