子どもの近視は自然に治る?近視のリスク・眼科での近視治療や進行予防について解説

子どもの近視 オルソケラトロジー

「近視」は、現代社会において急増している視力トラブルの一つです。

特に、小学生のうちからメガネをかける子どもが増えていることをご存じでしょうか。当院院長である上月自身もそうなのですが、40歳前後の世代ですと「小学生でメガネをかける友達はそう多くなかった」という印象があるかもしれません。しかし今や、小学生低学年のうちから近視と診断されるケースが珍しくなくなってきました。

一方で、「子どもの近視は治る」という言葉も耳にします。実際に“自然に”治るケースがあるのか、それとも新しい治療法によって改善が見込めるのか、あるいは単なる誤解なのか――。本記事では眼科医の視点から、子どもの近視についての基礎知識・原因・治療アプローチ・保護者が気を付けたいことなどを総合的に解説します。

下記youtubeでは院長の上月が対談形式で更にわかりやすく説明しています。今後の励みになりますので、よろしければチャンネル登録と高評価をお願い致します。

子どもの近視が急増している背景

タブレット・スマホの普及

ここ数年、小学校で「1人1台のタブレット端末」が配布される動きが加速しているのは周知のとおりです。さらに、家庭内でもスマートフォンが手軽に使え、動画やゲーム、SNSなど子どもが魅力を感じるコンテンツが豊富になりました。

子どもの目は大人より調節力が強いため、近距離の画面を長時間見続けるほど“近視”が進行しやすいと考えられています。コロナ禍による外出自粛の影響もあり、結果的に「家の中でタブレットやスマホと向き合う時間が増え、近視が増加した」可能性が非常に高いのです。

親の遺伝要因も無視できない

近視の大きな要因の一つに「遺伝」があります。親のどちらかが近視だと子にも近視傾向が出やすい――これは以前から知られている事実です。現在は両親ともに近視という家庭が増えている影響もあり、子どもの近視が増える一因となっていると考えられます。

そもそも近視とは?「子どもの近視は治る」の真偽

伸びる眼球「軸」が原因

正視
近視

近視は、眼の奥行き(眼軸長)が伸びてしまうことで起こる屈折異常の一種です。健康な人の眼軸長は約23mm前後とされますが、強度近視の人では30mm近くまで伸びる場合もあります。

いったん物理的に長く伸びた目は、基本的に自然には元に戻りません。

「仮性近視」との違い

一時的に「目が疲れてピント調節がうまく働かず、遠くが見えにくくなる」状態を仮性近視と呼びます。これは、スマホやタブレットを長時間凝視した後などに起こりやすく、休憩を取ると解消することも。

「子どもの近視は治る」と言われる場合、実際は仮性近視が回復しているケースが多く、「軸が伸びた真性近視」自体が治っているわけではありません。

眼軸が伸びている近視
真性近視=眼軸が伸びている
水晶体が膨らんでいる仮性近視
仮性近視=毛様体筋が緊張し続けている

自然に治る可能性のある近視 仮性近視について

仮性(かせい)近視、または偽(ぎ)近視とは、名前に“仮”や“偽”という文字が示す通り、一時的な調節異常によって生じる偽の近視状態を指します。

私たちの目は、近くを見るときに毛様体筋という筋肉が緊張し、水晶体を厚くしてピントを合わせます。ところが、近い距離を長時間見続けるなどで毛様体筋が緊張しっぱなしになると、水晶体が膨らんだままロックされやすくなります。これが“仮性近視”の正体です。

毛様体筋が緩んでいる状態
毛様体筋がゆるんでいる状態
毛様体筋が緊張し、仮性近視になっている状態
毛様体筋が緊張し続けており、仮性近視になっている

「子どもの近視は治る」は仮性近視なら当てはまる?

仮性近視は、一時的な調節緊張状態であるため、適切なケアでリセットできます。

しかし、そのまま放置してしまうと、水晶体を厚くする状態が慢性化し、最終的に「目の奥行き(眼軸)が伸びる真性近視」に移行してしまう恐れがあります。

眼軸が伸びている近視

真性近視になると、物理的に眼球が長くなっているため、自然には治りません。よく言われる「近くのものを長く見ていると近視が進む」というのは、この仮性近視→真性近視への移行も一因です。

しかし、仮性近視の段階なら、調節緊張をほぐすケアを行うことで視力が改善する可能性があります。そのため、「子どもの近視は治る」と言われるケースの多くは、真性近視ではなく仮性近視を解消したに過ぎない場合が多いのです。

真性近視(軸性近視)は、メガネやコンタクトで矯正できても、眼球が物理的に大きく伸びているため将来的に網膜剥離緑内障近視性黄斑変性などの合併症リスクを抱えやすくなります。

つまり、仮性近視の段階で適切にケアすることが、強度近視への進行を防ぐ第一歩となるのです。

子どもの仮性近視を治す&近視進行の予防策 気をつけるべきポイント

仮性近視のケアも、眼軸が伸びる真性近視(自然に治らない近視)も気をつけるポイントは同じです。

近距離作業を長時間続けない

スマホを操作する女の子

最も大切なのは、近距離の画面や文字を長時間凝視しないことです。

スマホやタブレットであれば、できるだけ目と画面の距離を離す工夫を。近視抑制のためには20分作業したら休憩を挟む「20-20-20ルール」(20分おきに20フィート(約6m)先を20秒見るなど)も提唱されています。

ただし、子どもは楽しいことに夢中になると時間を忘れてしまいがち。「姿勢を正す」「適切な照明環境を整える」など、日頃から親子で声を掛け合うことも大切です。

他にも、寝転びながらや、暗いところで本を読むことなども避けてください、

屋外で過ごす時間を確保する

多くの研究で「屋外で過ごす時間が長い子どもは近視になりにくい」という結果が報告されています。紫外線や明るさの刺激によるドーパミン分泌が関係している可能性も指摘されており、1日2時間程度の屋外遊びが望ましいと言われることも。

中には、子どもの頃に家でゲームをしていると「外で遊びなさい!」と言われて、結局外で携帯ゲームをしていた…という方もいらっしゃるかもしれませんが、実はそれも近視進行予防に一役買っていたと言えるかもしれません。もちろん、いくら外といえど、よい姿勢で、適切な休憩をしながら遊ぶことが大切ですし、可能であれば体を動かす遊びをするとよりよいでしょう。

外遊びは、コロナ禍や生活環境で難しい場合もありますが、できる範囲で外に出て自然光に触れる時間を設ける工夫をしてください。

定期的に眼科受診をする

「子どもの近視が進んでいないか」を定期的に確認し、必要があれば眼鏡の度数を調整する、あるいは進行抑制のための治療を検討するなど、早めの対策がとれます。

学校検診の結果にかかわらず、「最近見えづらそうだ」と感じたら一度受診するのも一手です。

近視進行を抑える最新の治療・対策

前述のとおり、伸びた眼軸を短くすることは難しく、元に戻すのは不可能とされています。
しかし、近視の進行を抑える最新のアプローチとして、以下のような手法が注目されています。

オルソケラトロジー

夜間だけ装用する特殊なハードコンタクトレンズで角膜形状を矯正し、日中は裸眼である程度見えるようにする手法です。近視進行抑制効果が報告されており、早期からの導入で効果が期待できる一方、装着時のケアや管理コストが必要になるため、親子でしっかり取り組む姿勢が欠かせません。

当院では都内有数のオルソケラトロジー治療実績があるため、安心して治療を受けていただけます。
なお、以下に紹介するレッドライト治療やマイオピンなどと併用することで、より高い効果を発揮できると言われています。

【手術をしない視力矯正】近視抑制治療 オルソケラトロジーについて|経堂こうづき眼科-世田谷区経堂駅直結 経堂コルティ2階(日帰り白内障手術)
世田谷区の経堂駅徒歩1分の眼科。土日祝診療。駐車場完備。日帰り白内障手術、緑内障、小児眼科。区検診対応。麦粒腫や結膜炎、アレルギー。レーザーも即日行います。

低濃度アトロピン点眼(マイオピンなど)

アトロピンという薬剤を低濃度に調整して点眼することで、近視進行を抑制できるという研究データがあります。日本では保険適用外の自由診療であり、費用面の負担がある点に注意しましょう。
上記のオルソケラトロジーとの併用も有効です。

お子様の近視抑制治療|経堂こうづき眼科-世田谷区経堂駅直結 経堂コルティ2階(日帰り白内障手術)
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レッドライト治療

ごく弱い赤色光線(レッドライト)を定期的に眼に照射し、近視進行を抑える試みが近年注目されています。まだ新しい治療法ではありますが、一部の臨床試験では、「伸びた眼軸がもとに戻った」という報告も上がっています。
導入している眼科は限られるので、興味のある方は専門医に相談が必要です。
当院では早くからレッドライトを導入しており、安心して治療を受けていただくことができます。

レッドライト治療について|経堂こうづき眼科-世田谷区経堂駅直結 経堂コルティ2階(日帰り白内障手術)
世田谷区の経堂駅徒歩1分の眼科。土日祝診療。駐車場完備。日帰り白内障手術、緑内障、小児眼科。区検診対応。麦粒腫や結膜炎、アレルギー。レーザーも即日行います。

多焦点ソフトコンタクト・メガネ

遠く・中間・近くなど、複数の焦点を持たせるレンズで近視進行を抑える手法。これも完全に近視を「治す」わけではないものの、進行度合いを和らげる可能性があるとされています。
いずれの方法も現時点では保険適用外であり、費用と効果のバランスを考えつつ、眼科医と十分相談して検討するのが望ましいでしょう。

将来的なリスク:強度近視が招く合併症

「近視が強くなってもメガネやコンタクトで矯正すれば問題ない」と思われがちですが、実は強度近視は失明リスクを伴う深刻な合併症を招く可能性があります。

  • 網膜剥離:眼球が大きく伸びると網膜が薄くなり、裂孔が生じやすくなる
  • 緑内障:近視が進むほど緑内障リスクも高まる
  • 近視性黄斑変性:黄斑部(視力の中心)がダメージを受け、視力が大幅に低下

日本では失明原因の第5位に「強度近視」が挙げられます。つまり、子どものうちから近視が進むと、大人になったときに重大な視機能障害を抱えるリスクが増すということです。だからこそ、進行を少しでも抑える対策が求められます。

子どもにメガネは必要?学校検診で「要受診」と言われたら

「黒板が見えない」不便を放置しない

学校検診で「要受診」と言われた場合、まず黒板の文字が見づらくないかを確認してみてください。0.3以下の視力でも、本人は「自分なりに見えている」と感じるケースもありますが、実は隣の友達のノートを覗き込んでいたり、前の席を無意識に選んでいる場合があります。

日常生活で困っていないなら、メガネをかけるかどうか迷う方もいるでしょう。しかし授業や黒板を見る機会が多い小学生の場合、視力が低いままだと学習面での支障が生じることが考えられます。必要に応じて、授業中だけでもメガネを使う、あるいは恒常的に着用するなど、最適な方法を眼科医と相談しましょう。

「メガネをかけたり外したりすると近視が進む」は誤解

昔から「近視になってもメガネをかけたり外したりすると、余計に進む」という都市伝説がありました。しかし、適度に必要なときにメガネを使うことが近視進行に影響するという科学的根拠はありません

何より、見づらい状態を放置すると学習効率が下がり、集中力を欠き、疲労度が増します。「授業中だけメガネ」「普段は外す」などの使い分けも可能ですので、子どもの生活スタイルに合わせた方法を検討してください。

まとめ!子どもの近視は「治す」より「進行を抑える」が鍵

結論として、「子どもの近視は治る」という表現は厳密には誤解を招きます。一度伸びた眼球は基本的に元に戻りません。ただし、子どもの中には仮性近視(調節による偽の近視)で一時的に視力が落ちているケースもあり、その場合は生活習慣の改善などで視力が戻ることがあります。

しかし、真性近視の場合は「目の軸が伸びる=不可逆的」となるため、いかに進行を遅らせるかがポイントです。下記の点を参考にしつつ、適切な眼科受診とケアを続けましょう。

  1. 近距離作業を減らす・定期的に休憩する
  2. 屋外活動や日光浴の時間を確保
  3. 定期的に視力チェックし、学習や生活に支障があればメガネを活用
  4. 必要に応じて専門的な近視抑制治療を検討

子どもの視力は将来の学習だけでなく、人生の質を左右する大切な要素です。保護者にできることは「デバイス使用のルールを設ける」「姿勢や作業距離を気にかける」「定期受診を怠らない」などのサポートでしょう。もし近視が進行しそうな兆候があれば、早めに専門家へ相談してみてください。

当法人は経堂こうづき眼科と王子さくら眼科、2院展開しておりますので、ご来院しやすい方にお越しください。

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お子さまが近視の兆候を示している場合、軽度であっても進行する可能性があるため、放置せず注意が必要です。

当法人では、経験豊かな視能訓練士がサポートいたしますので、視力回復や視力矯正治療に関心がある方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

経堂こうづき眼科

〒156-0052 東京都世田谷区経堂2-1-33 経堂コルティ 2F
小田急線経堂駅すぐショッピングモール内
TEL:03-5799-7276

診療受付時間: 午前10:00-13:00 午後15:00-18:30
※木曜日休診、日曜祝日18:00まで
土日祝も診療を行っております。(木曜休診日)

経堂こうづき眼科・経堂白内障手術クリニック-世田谷区経堂駅直結 経堂コルティ2階(日帰り白内障手術)土日祝診療
世田谷区の経堂駅徒歩1分の眼科。土日祝診療。駐車場完備。日帰り白内障手術、緑内障、小児眼科。区検診対応。麦粒腫や結膜炎、アレルギー。レーザーも即日行います。

経堂こうづき眼科予約について

一般診療は予約を行っておりませんので、直接ご来院ください。

上月院長のいる日に来ていただけますと近視治療に関して詳しいお話をさせて頂くことが可能です。上月院長の出勤日に関しては下記のカレンダーを参照ください。

オルソケラトロジーやレッドライトの治療を希望される方に関しては予約優先となっております。下記ボタンから詳しくご確認ください。

王子さくら眼科

〒114-0002
東京都北区王子1丁目10-17 ヒューリック王子ビル 5F
京浜東北線/東京メトロ南北線「王子駅」北口徒歩30秒 みずほ銀行の上
TEL:03-6903-2663

診療時間: 午前9:30〜13:00 午後15:00〜18:30
休診日:日曜日

北区王子駅前の眼科、日帰り白内障手術|王子さくら眼科
北区王子駅から徒歩30秒の眼科、王子さくら眼科は眼科全般・小児眼科・白内障手術・緑内障・網膜疾患・オルソケラトロジー・花粉症など幅広い診療を行います。日曜は休診ですが、土曜、祝祭日も診察致します。王子駅前みずほ銀行の上で駅近で便利です。

王子さくら眼科予約について

レッドライト治療については予約制となっております。お電話か直接ご来院にてご予約をお願い致します。土曜祝日も診療を行っておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

王子さくら眼科レッドライト治療ご予約

一般診療に関してはweb予約を承っております。

ただし、オルソケラトロジーやレッドライトについてはお電話かご来院にてご予約をお願いいたします。

予約受付時間(診療受付時間) :
午前9:30-13:00 午後15:00-18:30
※土・祝診療、日曜休診
予約電話番号:03-6903-2663

詳しくは下記リンクをご覧ください。

この記事の監修

経堂こうづき眼科院長
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